官民を超えた多機関連携

環境省の「ガイドライン」のメインテーマは「社会福祉と動物愛護管理の多機関連携」ですので、連携についての記述にはかなりのページが割かれています。それだけに非常に冗長で読みにくいので、非常にざっくりとまとめてみました。

 

連携の重要性

多頭飼育問題にかかる3つの影響、すなわち「飼い主の生活状況の悪化」「動物の状態の悪化」「周辺の生活環境の悪化」)を把握し、それぞれに対応する「飼い主の生活支援」「動物の飼育状況の改善」、「周辺の生活環境の改善」に着目して対策を講じるためには、地方自治体の動物愛護管理部局だけではなく、社会福祉部局、生活衛生部局、警察、動物愛護ボランティア、社会福祉事業者等、行政・民間を問わず多機関と連携しながら改善策を講じていく必要があります。

 

連携の主体

具体的には

・「飼い主の生活支援」→社会福祉部局等

・「動物の飼育状況の改善」→動物愛護管理部局等

・「周辺の生活環境の改善」→公衆衛生部局や市町村等

が考えられますが、それに限らず様々な関係者の連携が必要になります。

 

連携の際の注意事項

連携に当たっては、次の点に注意する必要があります。

・関係する主体を特定し、それぞれがすべきこと、できることをよく理解し、解決のために誰が何をするかを決めて取組みを進める。

・状況によっては、通常の業務の枠組みを超えて柔軟に対応する。

・多頭飼育問題に関わることが多い主体を中心に、常日頃から情報交換を行う。

・連絡窓口を明らかにし、対応の仕方を決めておく。

・関係主体がそれぞれ取り組むことのできることを明示し持ち寄る。

・責任の所在が不明な事象については誰が対応すべきか早期に検討する。

・飼い主の特質等により主導権を持って対応にあたる部局を決める。

 

(のらぬこから一言)行政は「連携」という言葉が大好物ですが、ともすれば各機関が責任をなすり付け合う「集団無責任体制」につながる危険性を孕んでいます。また公務員には「情報共有」だけで「連携」を果たしたと勘違いして、それで満足してしまうという悪癖もあります。主体はあくまでも動物愛護管理部局であるということを明確にしたうえで連携を行わなければ、リアルに「絵に描いた餅」で終わります。

 

※ 環境省「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン~社会福祉と動物愛護管理の多機関連携に向けて~」P23