地域においては個人や団体など多様な人々が、様々な目的や活動内容で動物愛護ボランティアとして活動しています。多頭飼育問題に対応するための自治体職員の人役が限られている中、動物愛護ボランティアの役割は重要です。
また自治体等は公平性や受益者負担といった縛りがある一方、動物愛護ボランティアはある程度自由な活動が可能です。それは良い面もありますが、人間に対するフォローやコンプライアンスが不十分なまま動物の保護にのみ集中して、トラブルを起こすこともあります。
動物愛護ボランティアの活動内容の例
動物愛護ボランティアの活動内容には、このようなものが考えられます。
・見守り
・救護・移送
・一時預かり
・譲渡
・専門職による治療・看護等
協力にあたっての留意事項
・地方自治体と動物愛護ボランティアが、それぞれの役割を互いに理解する。
・人材が不足している場合、地方自治体がボランティアやリーダー、コーディネーター等を育成することも検討する。
・地域の動物愛護ボランティアとは、平素から信頼関係を構築しておく。
・ボランティア保険への加入の推奨や、ボランティア活動のルール設定も検討する。
・全国から動物愛護ボランティアが駆けつけるような大規模事案の場合、混乱防止のためのルール決めが重要。
多頭飼育問題の防止
米国においては安楽殺を行わない「ノーキル」シェルターが過度に動物を受け入れ、多頭飼育問題化している事例が見受けられます。日本においても、個人の動物愛護ボランティアや民間のアニマルシェルターの多頭飼育問題が起きています。動物愛護ボランティアや民間のアニマルシェルター自体が多頭飼育問題を起こしてしまうと、何をやっているのかわからなくなります。「ガイドライン」では、下のようなことに注意する必要があると記述されています。
・動物愛護ボランティア等が自らのキャパシティを把握し、それを超えないよう留意する。
・行政側が状況を把握し、動物愛護ボランティア等に過度な負担がかからないようにする。
(特に広域に活動する動物愛護ボランティアの場合、単独の自治体で状況が把握しにくい)
※ 環境省「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン~社会福祉と動物愛護管理の多機関連携に向けて~」P41-43