多頭飼育問題への対応② 発見

「発見」の経緯

「発見」とは、「多頭飼育問題やそのおそれがある状態が外部に明らかになること」を指します。「ガイドライン」には、自治体の「多頭飼育に係るアンケート」で収集された多頭飼育状態の発見時の状況について記載されています。

 

・民生委員、地域包括支援センター、社会福祉協議会等による相談

・保健所の保健師が飼い主の新生児訪問時に発見し、情報提供

・生活保護のケースワーカーが飼い主の家庭訪問時に探知し、情報提供

・入院していた飼い主が退院し自宅に訪問した介護支援専門員の情報提供

・飼い主の子供の悪臭からネグレクトを疑った学校関係者や児童福祉司などからの通報

・飼い主が動物愛護管理センターへ、増えた動物の引取りについて相談

・飼い主が病気になって入院しなければならなくなったとの親族から保健所へ相談

・動物飼育禁止の公営住宅で動物を飼育している、悪臭や鳴き声に迷惑しているとの近隣住民からの通報

・頻繁な動物の死体の持ち込みから虐待を疑った動物葬儀関係者からの通報

・購入を繰り返す飼い主の行動を不審に思ったペットショップからの通報

・飼い主と住居立ち退きについて調整していた住宅等管理業者からの相談

・飼い主が住んでいる公営住宅を管理する公社の職員からの情報提供

 

このことから、様々なチャンネルで多頭飼育問題が発見されていることがわかります。特に生活困窮者と直に接することが多い福祉政策の「担い手」によるところが多いとされています。しかし多頭飼育問題を発見したとしても、その対応について困惑する社会福祉事業者も多いのが事実です。都道府県等の動物愛護管理部局に相談しても塩対応で(特に動物愛護管理部門が保健所に設置されているような自治体)、結局地元の動物愛護ボランティアに頼らざるを得なかったという話はよく聞きます。逆に動物愛護管理部局が多頭飼育問題を発見した場合、その飼い主は何らかの医療・生活支援を求めている可能性がきわめて高いため、しかるべき部門に情報提供する必要があります。

 

「発見」の3つのステージ

「ガイドライン」は、多頭飼育問題の「発見」について、その時点における進行状況によって3つのステージに分類しています。

多頭飼育問題に陥るリスクが高い段階での探知 多頭飼育問題に陥るリスクが高い状態にある飼い主を地方自治体等が早期に探知し、指導等を通じて、不適正な多頭飼育の発生防止に努めることができる段階

多頭飼育問題の初期段階での探知・発見 既に多頭飼育問題が生じている事案について、事態が深刻化する前に探知・発見した段階

多頭飼育問題の発見 既に深刻化した多頭飼育問題(いわゆる多頭飼育崩壊といわれる状態)を発見した段階

 

※ 環境省「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン~社会福祉と動物愛護管理の多機関連携に向けて~」P54