多頭飼育問題への対応④  発見後対応

既に多頭飼育状態が深刻化しており、飼い主の努力・取組だけでは問題解決が困難な場合には、地方自治体や関係機関、団体等が連携して対応することが求められます。

 

状況把握及び連携すべき関係主体の抽出

「状況把握チェックシート」などのツールを用いて、状況把握、問題点の分析、連携すべき主体の抽出を行います。

 

対応方針の決定

連携主体や関係者を含めて対応方針の検討に必要となる情報を収集し、多頭飼育問題に係る総合的な判断のもと、「飼い主の生活支援」、「動物の飼育状況の改善」、「周辺の生活環境の改善」の3つの観点を踏まえた対応方針を決定し、方針に基づき対応します。

 

同行訪問および現地調査

必要に応じて同行訪問や現地調査を行います。その際には社会福祉部局、動物愛護管理部局が同行して現地調査を行うことが求められます。なぜなら…

 

動物愛護管理部局の担当者に欠けると考えられるスキル

・飼い主の健康上の問題の判断

・様々な疾病、認知症、精神疾患、発達障害等を有する人と接するための知識やスキル。

 

社会福祉部局の担当者に欠けると考えられるスキル

・動物の飼育状況や健康状態についての判断

・「動物由来感染症」に関する知識やスキル

 

また状況に応じて、生活環境部局や住宅部局又は住宅等管理業者または警察も含めた対応を行います。

 

個人情報の共有

関係主体間の個人情報の共有は、飼い主本人に同意を得てから行うことが基本となりますが、本人同意が困難な場合には最低限の情報共有にとどめ、関係主体がそれぞれ個人情報を収集するというプロセスが必要になります。

 

対応の記録

問題対応の途中で人事異動等により担当者が交代することもあり得ますので、「案件記録表」などのツールを利用して経緯を記録しておくことが必要です。こういったツールは担当者間の引継ぎだけではなく、解決後の振り返りにも有用です。

 

個体識別

多頭飼育されている動物の個々の状況を把握するため、動物の写真や動物の種類、性別、年齢、毛色、不妊去勢手術の状況、ワクチン接種の有無等を「動物リスト」や「動物カルテ」などのツールを用いて整理します。「ガイドライン」ではやけにあっさりと書かれていますが、動物のレスキューやケア、譲渡のための資料になりますし、飼い主に動物の状況を知ってもらうことにより、飼養頭数を減らすための説得材料にもなりますので、非常に重要です。

 

※ 環境省「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン~社会福祉と動物愛護管理の多機関連携に向けて~」P60-63