多頭飼育問題への対応として、周辺の生活環境の改善も重要です。
多頭飼育問題に陥っている場合、家屋の内外にごみ等が積まれることにより、悪臭や害虫の発生、家屋崩壊や火災等の危険が生じる、いわゆる「ごみ屋敷」となっている場合も多く見られます。
飼料の残さや動物の糞尿等の不適切な処理や放置により、悪臭や多数のねずみ、はえ、蚊、ゴキブリ、のみといった衛生動物が発生しているだけでなく、しばしば動物の死体が放置されていることがあります。動物の排泄物や死体等を放置することは、飼い主の健康や生活に悪影響を及ぼすだけでなく、周辺の生活環境を悪化させることにつながります。過密な飼育や適切な繁殖制限措置がなされていないことによる発情や性衝動に関するストレスから過剰に吠える、鳴く等の騒音トラブルに発展することもあります。(「ガイドライン」P68)
これらの状況を改善するためには、その要因になっている動物の個体数を適正数まで減らすことと並行して、ごみ等の除去を進めることが必要です。「ガイドライン」にはこう記述されています。
・動物の飼育状況の改善を行った上で、悪臭や害虫・害獣の発生の原因となっているごみや汚物の堆積、動物の死体の放置等の対応・処分を、飼い主自身か飼い主が依頼した清掃業者等に行わせる、又はその行動を促す助言や指導を行う
・これにより、飼い主自身の生活環境と動物の飼育環境を適切な状態にし、周辺の生活環境への影響をなくしていく
・飼い主自身が行ったり、業者に依頼したりする経済的余裕がない場合、行政職員が対応せざるを得ない状況が想定されるが、職員のみでの対応が困難な場合は、シルバー人材センターやボランティア等の地域の協力を仰ぐ
・その際、人員や費用負担等についてもあらかじめ調整を行う
(「ガイドライン」P68)
必要に応じて、法令に基づく厳格な対応を行うことも必要です。
・周辺の生活環境が損なわれている事態の場合、動物愛護管理法第25 条に基づき飼い主に状況改善のために必要な措置をとるべきことを勧告、命令等を行う
・状況が改善しない場合、家屋等管理者と連携して建物明渡し請求や強制執行等も検討する
・生活環境の改善のために、ごみ屋敷条例やごみ撤去の支援金制度を有する地方自治体ではこれらを活用する
(「ガイドライン」P68)