飼い主とのコミュニケーションポイント

飼い主とのコミュニケーションにおいて重要なポイントは、飼い主の人格や性格、置かれている状況を尊重し、信頼関係を構築することにあります。そして信頼関係を支援関係につなげていくことが重要です。そのためには社会福祉的なアプローチが必要な場合がしばしばあります。「ガイドライン」ではこのように記述されています。

 

寄り添う支援

・問題の背景の本質を探る。問題の背景が経済的困窮なのか、疾病や障害なのか、動物への過度の愛情や執着なのか、孤立感なのか… 

・飼い主と既に信頼関係を築いている親族や近隣住民、社会福祉関係者等のキーパーソンとなる人を探し、飼い主とのコミュニケーションの架け橋となってもらう。飼い主とキーパーソンとの間の信頼関係を壊さないよう配慮が必要。

・地域住民から孤立させない 

 

信頼関係の構築

・定期訪問

・継続訪問

・動物の状態だけではなく、飼い主の生活についても気にかけているというメッセージを伝える。

•飼い主と交わした約束を守る。例えば、飼育している動物の不妊去勢手術後は必ず飼い主に返却すると約束し、それを守る。

 

支援関係の構築

•本人から困りごとを引き出し、自ら決定できるよう支援等に係る選択肢を示す。

•支援の提案を受け入れてもらう。

 

また「ガイドライン」では、多頭飼育問題の改善に向けての注意点について触れられています。

 

・飼い主が取り組むことを具体的に提示する。小刻みに目標を設定することで自己肯定感が育まれることがある。

・飼い主への窓口となる対応者をある程度限定することにより、飼い主との信頼関係を構築しやすくなる。

・人事異動に備え、職員個人ではなくチームで対応する。

 

信頼関係の構築には時間を要することを認識し、飼い主のペースにも配慮しながら、焦らずに継続的にコミュニケーションを続けることで、信頼関係を構築し、適切な支援等につなげて多頭飼育問題の解決を図りましょう。(「ガイドライン」P80)

 

※ 環境省「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン~社会福祉と動物愛護管理の多機関連携に向けて~」P79-80