目視検査とそのポイント
TNRのために捕獲された猫は基本的に人慣れしていませんし、たとえ人慣れしていたとしても、身体検査のために触らせてくれるとは限りません。検査のために猫が暴れると、猫もスタッフもけがをする恐れがあります。そのためスペイクリニックにおける手術前検査は、獣医師による目視検査が中心になります。目視で確認すべき事項について、「マニュアル」にはこう記載されています。
●General body condition(一般的な身体状態)
●Hair coat/skin condition(毛づや・皮膚の状態)
●Mucous membrane color(粘膜の色)
●Presence/absence of ocular and nasal discharges(眼や鼻腔内の分泌物の有無)
●Breathing rate and effort/congestion(呼吸数と自発呼吸・うっ血)
●Pregnancy(妊娠の状態)
●Lactation status(授乳の有無)
●Presence of wounds/injuries(傷や損傷の有無)
耳カットの有無
目視検査の際に、耳カットの有無についても確認します。「マニュアル」ではこう記載されています。
Each patient should be visually checked for an ear tip prior to any pre-medication being administered. An ear tip is a symbol that the cat has already been spayed or neutered and the check must be confirmed to avoid unnecessarily anesthetizing a patient.
それぞれの患者は、前投薬を行う前に、耳カットがあるかどうかを目視で確認する必要があります。耳カットは、その猫がすでに避妊去勢手術を受けていることを示すシンボルであり、患者に不必要な麻酔をかけないために、このチェックは必須です。
目視検査における懸念事項
当然のことながら目視検査だけでは聴診や触診などができないので、健康上の懸念を見落とすおそれがあります。「マニュアル」で触れられている懸念事項は以下のとおりです。
●Heart murmurs and arrhythmias(心雑音や不整脈)
●Abnormal lung sounds(呼吸音の異常)
●Abdominal masses(腹部の腫瘤)
●Enlarged kidneys(腎臓の肥大)
●Pregnancy (if not visually obvious) (妊娠 ※外観でわからない場合)
●Pyometras/hydrometras(肺炎・水腫)
●Injuries and abscesses(傷害・膿瘍)
※ ASPCA”Special Considerations for Community Cats at Spay/Neuter Clinics Best Practices for Medical and Management Protocols”p4