Alley Cat Alliesがcommunity catのFIV/FeLV検査に反対する理由

ASPCAやAAFPがTNRの際のFIV(猫免疫不全ウイルス)やFeLV(猫白血病ウイルス)の検査を推奨しない主な理由は人役や費用などのリソースの問題で、そういったリソースはTNRの本分である避妊去勢手術に集中すべきというのが基本的な考え方です。ですので、リソースが許せば検査してもよいと私は考えています。

しかし米国のTNR推進団体であるAlley Cat Alliesは、community catのFIV/FeLV検査は「しなくてもよい」のではなく「すべきではない」と言います。

 

Alley Cat Allies has long advocated against routinely testing cats for FIV and FeLV. We recommend you check with the clinic to which you are thinking of bringing cats for spaying and neutering and confirming that they do not test of FIV or FeLV.

Alley Cat Alliesは長年の間、猫のFIVやFeLVの定期的な検査に反対してきました。猫の避妊去勢手術に連れて行こうとしているクリニックがFIVやFeLVの検査を行っていないことを確認することをお勧めします。※1

 

一応フォローしておきますが、Alley Cat AlliesはFIV/FeLV検査そのものに反対しているわけではなく、野良猫に対するスクリーニング検査としての実施に反対しているのです。削痩や口内炎、日和見感染など免疫不全が疑われる猫に対する検査を否定するものではありません。

 

Alley Cat Alliesがcommunity catのFIV/FeLV検査に反対する理由にはもちろんリソースの問題も含まれますが、最大の理由はFIVやFeLVの陽性結果が、猫の殺処分の口実に使われることへの危惧です。Alley Cat Alliesはこうも述べています。

 

Cats who test positive for FIV and FeLV are often killed in shelters before they even show any symptoms or develop any infections that impact their health. 

FIVやFeLVの検査で陽性となった猫は、症状を示したり、健康に影響を与える感染症を発症したりする前に、シェルターで殺されることがよくあります。※2

 

Alley Cat Allies does not support the killing of FIV- or FeLV-positive cats who are asymptomatic or have manageable infections that do not severely impact their quality of life.

Alley Cat Alliesは、無症状であるか、生活の質に深刻な影響を与えない管理可能な感染症を患っているFIV陽性またはFeLV陽性の猫の殺害を支持しません。※2

 

つまりFIVやFeLV陽性のみを理由とした猫の安楽殺は認められず、それは単なる「殺害」だと言っているのです。裏を返せば、米国のアニマルシェルターにおいてこういった「殺害」が横行しているということです。もちろん日本の動物管理機関においても他人ごとではありません。

 

※1 https://www.alleycat.org/resources/how-to-help-community-cats-a-step-by-step-guide-to-trap-neuter-return/

※2 https://www.alleycat.org/resources/protocols-testing-feline-immunodeficiency-virus-fiv-and-feline-leukemia-virus-felv/