「新型コロナウイルス」(SARS-CoV-2)の感染拡大もようやく落ち着きを見せてきたところですが、このウイルスのペットへの影響についてもようやくわかってきました。OIE(World Organisation for Animal Health:国際獣疫事務局)(https://www.oie.int/fileadmin/Home/MM/EN_Factsheet_SARS-CoV-2.pdf)の“OIE TECHNICAL FACTSHEET INFECTION WITH SARS-COV-2 IN ANIMALS”(2021)から、「新型コロナウイルス」のペットへの影響についての現在の知見についてまとめておきます。
動物種ごとの感受性
猫、ハムスター、犬の「新型コロナウイルス」への感受性はこの表のとおりです。
猫:自然感染も実験室感染もあり。ウイルスへの感受性は高い。臨床症状を示す(すべての症例ではない)。猫同士の感染あり。
ハムスター:実験室感染のみ。ウイルスへの感受性は高い。臨床症状を示す(年齢により、きわめて軽い症例がある)。ハムスター同士の感染あり。
犬:自然感染も実験室感染もあり。ウイルスへの感受性は低い。臨床症状を示す(すべての症例ではない)。犬同士の感染なし。
感染経路
Information on the routes of transmission of SARS-CoV-2 between animals is growing due to the events in mink farms and numerous experimental infection studies. As with other respiratory viruses, SARS-CoV-2 appears to be transmitted to animals and between animals by direct contact (e.g., droplets) and through aerosols that can persist in closed environments for some time. SARS-CoV-2 has been found in secretions from the respiratory tract and in faeces.
ミンク農場の事件や数多くの実験的感染研究により、動物間のSARS-CoV-2の感染経路に関する情報が増えています。他の呼吸器ウイルスと同様に、SARS-CoV-2は、直接接触(飛沫など)によって、また閉鎖環境でしばらく持続する可能性のあるエアロゾルを介して、動物から他の動物に感染するようです。SARS-CoV-2は、気道からの分泌物や糞便に含まれています。
ウイルスの発生源
The main source of the virus is respiratory droplets, aerosols, and respiratory secretions, although it is possible to isolate SARS-CoV-2 from faeces of some infected animal species.
ウイルスの主な発生源は呼吸器飛沫、エアロゾル、呼吸器分泌物ですが、感染した動物種の糞便からSARS-CoV-2を分離することは可能です。
潜伏期間
In laboratory settings, the incubation period in animals appears to be similar to that seen in humans (i.e., between 2 and 14 days). However, more studies are required to better estimate the mean duration of incubation and the infectious periods for the different susceptible animal species.
実験上では、動物の潜伏期間は人間と同様のようです(つまり、2〜14日)。 ただし、さまざまな動物種の潜伏期間と感染期間の平均をより正確に推定するには、さらに多くの研究が必要です。