アニマルシェルターにおいて「5つの自由」を満たすためには、「ケア能力」に見合った収容頭数を厳守する必要があります。にもかかわらず、アニマルシェルターには過剰収容の問題が付きまといます。その理由について、Million Cat Challenge(#allthecats)(https://www.millioncatchallenge.org/resources/capacity-for-care)は、「6つ目の自由」の存在をあげています。
「6つ目の自由」=「安楽殺の自由」
「5つの自由」は畜産動物、すなわち食用のためと殺される動物の人道的取り扱いについての基準です。これをアニマルシェルターにおける収容動物に当てはめようとした場合、動物の安楽殺について記述されていないことに気づきます。そこでシェルターメディスンでは「6つ目の自由」として「安楽殺の自由」を挙げています。つまり「5つの自由」が満たされないことにより苦しんでいて、それが解消される見込みがない動物に対しては、安楽殺により苦しみから解放することが動物福祉にかなうという考え方です。
「安楽殺されない自由」
しかし「安楽殺の自由」は、裏を返せば「その必要のない動物は安楽殺されない自由」ともいえます。Million Cat Challengeは「6つ目の自由」についてこう述べています。
There is one freedom that isn’t listed in the five above, and this underlies the tendency for many shelters to find their capacity chronically overwhelmed. That is the freedom from euthanasia for cats that are neither suffering irremediably nor dangerous to the community.
多くのシェルターが慢性的に収容数超過になっている背景には、上記の5つの自由にはない1つの自由があります。それは、回復不能な苦痛を抱えているわけでもなく、地域社会に危険を及ぼすわけでもない猫は安楽死されない自由です。
とはいえ、シェルターのケア能力不足により収容動物の「5つの自由」が担保されないことを理由に、収容動物の安楽殺が正当化されている現状もあります。Million Cat Challengeはこれは本末転倒であると非難しています。
However, in a shelter context, it would be unthinkable to ensure the first five freedoms at the expense of the sixth. Providing for the health and well-being of cats cannot come at the expense of their very lives.
しかし、シェルターにおいては、1から5までの自由を担保するために、6番目の自由を犠牲にすることは考えられません。猫の健康と幸福のために、猫の命そのものを犠牲にすることはできません。
そして安楽殺によることなく、収容の効率化によりシェルターのケア能力の向上を図るべきと述べています。
Assuring capacity for care also supports success in meeting a Sixth Freedom, the freedom from euthanasia for cats that are neither terminally ill nor dangerous. Providing high quality housing and minimizing length of stay through pro-active management are two key factors in assuring capacity for care for every cat in the shelter.
ケア能力を確保することは、「6つ目の自由」(末期的な病気でもなく、危険でもない猫は安楽殺されない自由)を満たすための成功にもつながります。質の高い住居を提供し、積極的な管理によって滞在期間を最小限に抑えることは、シェルター内のすべての猫のケア能力を確保するための2つの重要な要素です。