Million Cat Challenge(17) 「譲渡の障壁の除去」その2

アニマルシェルターが動物を譲渡する意義

Million Cat Challenge(#allthecats)は、アニマルシェルターが動物の譲渡を行う意義を2つあげています(https://www.millioncatchallenge.org/resources/removing-barriers-to-adoption)。

 

譲渡の意義① 全ての動物を飼い続けるのは無理

アニマルシェルターには保護を必要とする動物を受け入れる社会的責務があります。いくら代替手段を用いて受け入れ数を減らしたとしても、シェルターは一定数の動物を受け入れなければなりません。とはいえ、受け入れた動物を終生飼い続けることは困難です。殺処分によらず収容動物の数を減らすには、譲渡を促進するしかありません。

 

In most communities, we simply can’t afford to provide unlimited care for every cat who is temporarily without a home, or find a traditionally defined “perfect forever home” for every cat, of every temperament and in any condition, who might appear on a shelter’s doorsteps.

ほとんどの組織では、一時的に家を失ったすべての猫に無制限のケアを提供したり、シェルターの玄関先に現れたあらゆる気質、あらゆる状態のすべての猫に伝統的に定義されている「完璧な永遠の家」を見つけたりする余裕はありません。

 

譲渡の意義② 犬や猫は「家庭動物」

犬や猫は家庭動物として改良されてきた歴史があります。一部の野生化した犬や猫は家庭に入ることがストレスになる可能性がありますが、多くの犬や猫にとって、家庭に入ることが本来の姿です。シェルター暮らしが彼らの免疫力を低下させ、行動の異常を促すことからも、可能な限りシェルターから出してあげることが望ましいといえます。

 

It’s the job of shelters to prepare cats for adoption and then move them out as quickly as possible into permanent homes. In many cases, the quality of life in a home, even an imperfect one, is better than a cat’s experience in a shelter.

シェルターの仕事は、猫の譲渡の準備をして、できるだけ早く恒久的な家庭に移すことです。多くの場合、家庭での生活の質は、たとえ不完全なものであっても、シェルターでの猫の経験よりも優れています。

 

譲渡とは、終生飼養が可能な家庭、すなわち「ずっとのおうち」への譲渡でなければなりません。シェルター間で収容動物をたらい回しにすることを譲渡とは呼びません(日本の行政機関では「団体への譲渡」などというよくわからない用語が使われていますが)。ただし、地域ごとの譲渡のニーズに合わせて、動物に対する責任の所在を明らかにした上でシェルター間で収容動物を移送し合うことはアリだと思います。