Feral Freedomの歴史について、”The Feral Freedom Guide”(https://www.fcnmhp.org/wp-content/uploads/2013/11/FeralFreedomGuide.pdf)から見ていきます。
FCNMHPの発足
Feral Freedomの歴史は、FCNMHP(First Coast No More Homeless Pets)の発足から始まります。FCNMHPが発足した2002年当時、ジャクソンビル市のシェルターでは収容された犬猫の約70%が安楽殺されていました。安楽殺をゼロにすることは、譲渡先が限られている以上、不可能だと人々は半ばあきらめていました。そんな中、ジャクソンビル市の動物保護特別委員会とFCNMHPの創始者であるリック・デュカルムは、犬猫の安楽殺を減らし、将来的にはゼロにするためには避妊去勢手術の普及しかないという認識を共有し、FCNMHPが発足したわけです。
FCNMHPの避妊去勢事業
FCNMHPは、ペットを飼っている低所得者を対象に一斉避妊去勢手術を行う「SpayJax」という事業を始めました。その効果はシェルターの受入数減少という形で、数か月で現れました。事業の対象はferal cat(人間に依存せずに野外で生活する「野生」の猫)やcommunity cat(人間の生活圏で生活している「野良猫」)に広げられ、それが主流となりました。
バウチャー制からNBAへの転換
一方2002年には、ジャクソンビル市で犬猫の譲渡を行っていたJacksonville Animal Care & Control(ジャクソンビル市動物保護管理所:当時の名称)やJacksonville Humane Society(ジャクソンビル人道協会)は、譲渡時の避妊去勢手術について「バウチャー制」(譲渡の際に無料で避妊去勢手術を受けることができる「バウチャー(クーポン券)」を配布)から「NBA(譲渡前避妊去勢手術)」に転換しました。
しかし野良猫は…
これらの方策が功を奏し、6年間でシェルターの受入数は30%減少し、安楽殺数は50%近く減少しました。しかしひとつだけ不満が残りました。
Despite spaying or neutering several thousand cats each year, a significant number of unaltered feral/community cats were still entering the city shelter and being euthanized. Shelter admissions of pet cats and kittens and dogs and puppies had decreased dramatically, but feral/community cats were continuing to drain the city’s resources and those of other local animal welfare organizations.
毎年、数千匹の猫に避妊去勢手術を施しているにもかかわらず、かなりの数の手術未実施の野良猫が市のシェルターに入り、安楽殺させられていました。ペットの猫や犬のシェルターへの受入れ数は劇的に減少しましたが、野良猫は市や他の動物保護団体のリソースを使い続けていました。(p3~4)