令和3年度版「動物愛護管理行政事務提要」(※令和2年度実績)が環境省から公開されました。その中から、主に犬猫の引取り・収容と殺処分についての全国集計を速報でお伝えします。
環境省の資料は非常に見にくいので、私が簡単にまとめました。「ライブリリース数」とは「返還数」と「譲渡数」を足した数、つまり「生きたまま解放された数」のことです。また「殺処分数」の中には「収容中の死亡数」も含まれます。
犬猫の引取り
総括 令和2年度の犬の引取り数は27,635頭で、令和元年度の32,561頭から約5,000頭減少しています。猫の引取り数は44,798匹で、令和元年度の53,342匹から約8,500匹減少しています。犬、猫ともに引取り数が急減していますが、特に猫は動物愛護法改正による飼い主不明猫の引取り拒否規定の影響が大きいものと考えられます。
令和2年度の犬の殺処分数は4,059頭で、令和元年度の5,635頭から約1,500頭減少しています。猫の殺処分数は19,705匹で、令和元年度の27,107匹から約7,400匹減少しています。引取り数の急減が、殺処分数の急減に反映しているものと考えられます。
犬(成熟個体) 犬の成熟個体については、9割近くが所有者不明として引取られますが、9,434頭が飼い主に返還され、10,468頭が譲渡され、3,253頭が殺処分されています。その内訳は、「譲渡不適」が2,556頭、「管理上の理由」が276頭、「死亡」が421頭でした。
犬(幼齢個体) 犬の幼齢個体はそのほとんどが野良犬の子、すなわち所有者不明として引き取られます。ですので飼い主への返還数は極めて少なく(29頭)、ライブリリースの大半は譲渡(4,268頭)で占められます。806頭が殺処分されていますが、その内訳は「譲渡不適」が233頭、「管理上の理由」が366頭、「死亡」が207頭でした。
猫(成熟個体) 猫の成熟個体の過半数が、飼い主の持ち込みにより引取られます。所有者不明の猫が飼い主に返還されることはほとんどないため、ライブリリースの大部分(8,384匹)は譲渡によるものです。6,675頭が殺処分されていて、その内訳は「譲渡不適」が4,364匹、「管理上の理由」が1,247匹、「死亡」が1,064匹でした。
猫(幼齢個体) 猫の幼齢個体の約9割は野良猫の子、すなわち所有者不明として引き取られます。飼い主への返還はほとんどなく、ライブリリースのほとんどが譲渡(16,746匹)によるものです。13,030匹が殺処分されていて、その内訳は「譲渡不適」が4,898匹、「管理上の理由」が4,466匹、「死亡」が3,666匹でした。
負傷犬猫の収容
負傷や疾病、幼齢などを理由に自治体に収容された犬は成熟538頭、幼齢67頭、猫は成熟6,145匹、幼齢3,922匹となっています。