猫のスポットクリーニング(6) 1居室ケージの場合<人慣れしていない猫>

人慣れしない猫が入っている単一居室のケージをスポットクリーニングすることは、やや厄介です。人慣れしていない猫が入ったままケージの清掃を行うことは、猫のストレスを増大させますし、スタッフの安全面への懸念もあります。UCデイビスのシェルターメディスンサイト(https://www.sheltermedicine.com/library/resources/?r=spot-cleaning-cat-cages)にも、こう注意書きがあります。

 

these cats should be housed in a cage with a feral box inside along with a partial to full cage cover over the cage front

これらの猫は、ケージの前面を部分的または完全に覆うケージカバーとともに、内部にferal boxを配置する必要があります

 

野良猫のケージにカバーが必要というのは、野良猫を扱ったことのある方にはお馴染みかもしれませんが、feral boxについてはピンとこない方も多いと思いますので説明しておきます。

feral (cat) boxとは、主に野良猫を取り扱うために用いられる小さめの猫用ケージのことで、feral denともいいます。こういったケージの中に猫を誘導し入れてしまえば、野良猫に直接触れることなく持ち運びができます。大きなケージの中にferal boxを入れてふたを開ければ、野良猫に触れることなく別のケージに入れることができます。ケージの中でferal boxを入れたままふたを開放しておけば、猫の寝床代わりに使えますし、多くのferal boxの天井が平らなつくりになっているため、猫が上る棚の役割も果たすという優れものです。小ぶりで口が大きいため、子猫用の飼育ケージとして使うこともできます。私が勤務している自治体にはferal boxが導入されていますが、便利この上ないです。ただし日本においてferal boxは一般的ではなく高価でもあるため、旅行用の小型キャリーを代用することも多いようです(米国のシェルターメディスンの教科書にもそう書いてあります)。