犬猫用プロジェスチンの歴史 その2

犬や猫の避妊薬の歴史について、Alliance for Contraception in Cats & Dogs (猫と犬の避妊のための同盟:ACC&D)のレポート"Contraception and Fertility Control in Dogs and Cats"(2013)の記述から見ています。

 

新しいプロジェスチンを探す試み

前述のとおり、プロジェスチンによる犬の避妊法は、その副作用から米国の獣医師たちの信頼を失いました。一方欧州では、副作用の少ないプロジェスチンを探す試みが実施されました。現在日本で承認されているクロルマジノン酢酸エステルやプロリゲストンも、こうして見いだされました。

 

Because of the veterinary and animal welfare environment in Europe, veterinarians worked with the available pharmaceuticals to develop safe protocols for progestins. During the 1960s and 1970s, other progestins were introduced, such as chlormadinone acetate (CAP), delmadinone acetate (DMA), and proligestone (PRO). Use of the progestins was refined by lowering the dose and adjusting the timing of administration. Emerging insights into the canine reproductive cycle began to allow for strategies uniquely suited for the species. In the bitch, pregnancy and pseudopregnancy are endocrinologically and morphologically very similar. Use of these compounds for treatment for estrous prevention and an interruption of cyclicity was found to be safe when begun 4 months after an estrus, and at least 1 month prior to the next anticipated estrus. The treatment could be repeated every 4-5 months for years of safe estrous prevention.

 

ヨーロッパにおいては、獣医療および動物福祉の観点から、獣医師は利用可能な製剤を用いて、プロジェスチンの安全な投薬計画を開発しました。1960年代から1970年代にかけて、クロルマジノン酢酸エステル(CAP)、デルマジノンアセタート(DMA)、プロリゲストン(PRO)などの他のプロジェスチンが導入されました。プロジェスチンの使用は、投与量を減らし、投与のタイミングを調整するように改良されていきました。犬の繁殖周期への新たな知見は、種独自の戦略を可能にし始めました。メス犬では、妊娠と偽妊娠は内分泌学的および形態学的に非常に似ています。発情抑制および繁殖周期の中断にこれらの化合物を使用することは、発情の4か月後、および次に予想される発情の少なくとも1か月前に開始した場合に安全であることがわかりました。投薬は、完全な発情抑制のために4〜5か月ごとに繰り返します。(p13)

クロルマジノン酢酸エステル

プロリゲストン