クロルマジノン酢酸エステル

発情抑制剤は経口剤にしても、注射剤にしても、定期的な投与が必要です。これを少しずつ溶けるようにした製剤を体内に埋め込めば、投与の手間が省けます。プロジェスチンの、いわゆるインプラント剤が日本で犬の発情防止剤として認可されています。ACC&Dのレポートでは触れられていないので、欧米で広く用いられている製品ではないようです。

 

日本で認可されているのは「あすかアニマルヘルス株式会社」の「ジース®インプラント」で、詳細はメーカーのホームページから引用します。

https://aska-animal.co.jp/products/detail/companimal/gs.html

 

合成プロゲステロンであるクロルマジノン酢酸エステルをシリコンエラストマーと混合した徐放性製剤(インプラント剤)で、1回の処置により最長2年間発情を抑制することが可能です。

また、本剤は摘出することにより1〜8ヵ月後に発情を回帰し妊娠可能な状態に戻すことができます。

 

本剤をクロルマジノン酢酸エステルとして、下記の用量を無発情期に、頸部皮膚を外科的に切皮し、皮下に無菌的に移植します。

通常10.0〜20.0mg/kgを移植します。なお、移植期間を1年以内とする場合には5.0〜10.0mg/kgを移植しても構いません。

 

添付文書に副作用についての記述があります。

 

・本剤移植中,体重が増加することがある.

・本剤移植中,軽度の乳腺の発達を起こすことがある.

・本剤移植中,ときに脱毛を起こすことがある.

・本剤移植中,ときに子宮疾患を発生することがある.

・本剤移植中,軽度の外陰部の腫脹や外陰部からの漏出液がみられることがある.

・本剤移植中,移植部位の腫脹を起こすことがある