ACC&D(Alliance for Contraception in Cats & Dogs:猫と犬の避妊のための同盟)は、飼い主のいない猫への避妊去勢手術の代替手段として、GnRH作動薬のデスロレリンインプラントに関心を持っているようです。ACC&Dのレポート"Contraception and Fertility Control in Dogs and Cats"(2013)には、こういう記述があります。
Given that several of the non-surgical contraceptives that have been developed may allow long-term fertility suppression, ACC&D was interested in understanding the impact of a treatment that could cause a long-term suppression of fertility on a feral population when compared to surgery, which offers a permanent solution. Because there was some information available that a deslorelin implant might result in up to 3 years of fertility suppression in cats, preliminary modeling work was done to evaluate population impact of a 3-year contraceptive treatment in feral cats. This work resulted in a study that was published in 2009 that modeled the impact of 3-year contraception vs. surgical sterilization on the population of feral cats. Results indicated that both were similarly effective and far more effective in population control than no intervention (Budke and Slater 2009):
これまで開発された非外科的避妊薬の中には、長期的な避妊が可能なものがあることから、ACC&Dは、野生の個体群に長期的な避妊をもたらす可能性のある治療法が、恒久的避妊をもたらす手術と比較して、どのような影響を及ぼすかを理解することに関心を持ちました。デスロレリンインプラントが猫の生殖能力を最大3年間抑制する可能性があるという情報があったため、3年間の避妊処置が野良猫の集団に与える影響を評価する予備的なモデリングが行われました。この研究の結果、2009年に発表された論文では、3年間の避妊処置と外科的避妊手術が野良猫の個体群に与える影響をモデリングしています。その結果、どちらも同程度の効果があり、介入しない場合よりもはるかに高い個体数制御効果があることが示されました(Budke and Slater 2009)。(p118)
★のらぬこの補足★
レポートはこの後、研究結果の詳細についての記述が続くのですが、非常にわかりにくいのでざっくりと説明すると、「野良猫の平均寿命を3年と仮定し、同じ猫を3年後に再捕獲できることを前提にすれば、3年間有効な非外科的避妊法は、避妊去勢手術とほぼ同等の個体数調整効果がある」ということです。しかしここにはいくつかの前提条件があり、しかもあくまでも机上のシミュレーションの結果ですので、本当にこのとおりにいくかどうかはわかりません。