地域レベルのTargeting(集中的TNR)を実施する際に、どの地区を選択すべきか、Bryan Kortis (2014)の” PetSmart Charities Community TNR: Tactics and Tools”を参考に、できるだけわかりやすく述べていきたいと思います(p32-35を参考にしました)。
対象地区の選定
ここまで例に挙げてきた「猫町」という地域には、外猫が町じゅうに均一に分布していましたが、現実にはそのような例はまれで、外猫が集中的に分布している地点があるものです。実際には図9のような分布を示しているかもしれません。
この場合「猫町」の100匹の外猫は、その50%が「郵便番号3」地区に分布していて、残りの50%は他の3地区に分散しています。すなわち「郵便番号3」地区を対象にTargeting(TNR)を実施することが、「猫町」の外猫の個体数制御により効果的ということです。
そういった、いわゆる「ホットスポット」をどうやって特定すればよいのでしょうか。
地区別の収容数(Intake broken down by location of origin)
アニマルシェルターに持ち込まれた外猫の「出身地」を調べれば、どの地区に外猫が多いかがわかります。
苦情電話や支援要請(Complaint calls or requests for assistance)
行政機関への猫の苦情電話や、動物保護団体への支援要請が多い地区には、外猫の個体数が多いことが予測されます。
地区の経済状況(Economic conditions)
住民の収入が低く、避妊去勢手術への支出が難しかったり、賃貸住宅を転々としている人が多いような地区には、外猫の数が多いと予測されます。
土地勘(Tribal knowledge)
地元住民や、長年その地区で活動している人のいわゆる「土地勘」もあてになります。
マッピングツール(Mapping tools)
外猫の保護地点や苦情地点などを地図に落とし込むと、外猫が多い地区を視覚的に認識できます。