Targeting(集中的TNR)を実施する際には、対象となる外猫の個体数の推定が不可欠です。Bryan Kortis (2014)の” PetSmart Charities Community TNR: Tactics and Tools”から見ていきます。
外猫の数の推定
外猫の数を正確に把握することは困難です。どうしても「手仕事(art)」に基づく「推定値」となります。Kortisもこう述べています。
There is no one definitive formula to produce an exact community cat count. It is important to understand the methods currently available for arriving at such numbers are just as much art as science.
野良猫の正確な個体数を算出する唯一の決定的な公式は存在しません。このような数に到達するために現在利用可能な方法は、科学と同じくらいそれが手仕事であることを理解することが重要です。(p35)
外猫の個体数は、その地区に居住する人間の人口から推定することが一般的です。PetSmart Charitiesは当初、専門家からの助言により「人口を6で割った数」を外猫の推定数としていました。しかしそれはダブルカウントを含んだ過剰評価であることに気づき、現在は「人口を15で割った数」が採用されています。(p35-36)
人口密度による補正
しかしこれだけでは推定値として不十分です。Kortisもこう述べています。
It must be emphasized that “divide by 15” is a starting point, not an end point.
ここで強調したいのは、「15で割る」というのは出発点であって、終着点ではないということです。(p36)
集合住宅が多い都市部では、外猫が利用できる食料や隠れ家が少ないため、数値を下方修正する必要があります。一方農村部では餌場や隠れ家が豊富で生活空間も広いため、数値を上方修正する必要があります。(p36-37)
気象(Weather)による補正
当然ながら、温暖な生息適地には野良猫の個体数も多いと考えられます。
A location in a warmer climate will thus tend to have a higher number of free-roaming cats per capita than a similar setting in the colder North.
温暖な地域は、寒い北部に比べて人口一人当たりの野良猫の数が多くなる傾向があります。(p37)
土地勘(Tribal knowledge)
しかし最終的に数値の補正を決定するのは土地勘(Tribal knowledge)です。
TNRを実施する際には、見積もった外猫の個体数があくまでも概算であることを認識し、その増減に柔軟に対応することが重要です。