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Outreach(普及活動)~猫を探す、信頼を築く~ その3

地域ぐるみのTNRを実施する際にはOutreach(普及活動)が重要ですが、その際には注意すべきポイントがいくつかあります。Bryan Kortis (2014)の” PetSmart Charities Community TNR: Tactics and Tools”を参考にまとめておきます。

 

地域の事情に合わせる

情報を発信する際には、地域の事情に合わせる必要があります。例えば米国のような多民族国家であれば、言語の選択も重要です。また地域によっては新しいものを受け入れるのに時間がかかる場合があり、長い時間をかけて信頼を築く必要があるかもしれません。(p43)

 

実施機関に対する信頼

動物管理機関がTNRの実施主体となる場合、猫の安楽殺を実施していたという「過去の所業」が災いし、住民からの協力が得られにくくなる可能性があります。まず信頼を取り戻す努力をすべきです。

 

Effective methods can include meetings with neighborhood associations, one-on-one talks, official pronouncements in favor of TNR and working with an animal welfare partner who is already trusted. More than anything, once people start to see cats being altered and returned, residents will be more willing to come forward and help get their colonies spayed and neutered, too.

効果的な方法としては、町内会との会合、1対1の話し合い、TNRを支持する公式発表、すでに信頼されている動物保護パートナーとの協力などが考えられます。何より、猫が避妊去勢手術を受けて戻ってくる姿を目にすれば、住民たちは自分たちのコロニーも避妊去勢手術を受けさせたいと思うようになるでしょう。(p43-44)

 

専用の電話番

猫の世話人はインターネットが苦手な人が多いため、TNR活動専用の電話番号を設け、留守番電話をセットしておきます。複雑なメッセージを入力してもらう必要はありません。必要な情報は猫の居場所(locations of the cats)と管理人の連絡先(the caretaker’s contact information)だけです。(p44)

 

「対象地域外だから」といって見捨てない

発信された情報が、対象地域外の世話人等に届くことはよくあります。だからといって、TNR活動の資金の縛りやリソース不足などにより、対象地域外に同等のサービスを提供できないこともよくあります。その際に“we can’t help you.”と言うのではなく、地域外であってもどのようなサポートが可能なのかをあらかじめ検討しておくことが望まれます。grassroots mobilization(草の根動員)の紹介や各種リソースの入手方法についての情報提供など、実施可能なサポート手段はあるはずです。(p44)