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TNRの成果を測る(Measuring impact)

Targeting(地区を絞った集中的なTNR)であっても、通常のTNRと同等に成果を測定することが必要です。Bryan Kortis (2014)の” PetSmart Charities Community TNR: Tactics and Tools”から見ていきます。

 

効果測定の意義

① 成果の検証<実施後>

TNR活動終了後に、外猫の個体数減少に成功したかどうか、そしてリソースの投入が適切であったかを検証する必要があります。(p48)

 

② 方針の見直し<実施中>

Targetingが進んでいくと、未処置の猫を見つけることが難しくなる時期が必ず出てきます。その原因は様々ですが、「猫はまだたくさんいるが、うまく発見できない」場合はその戦略の見直しが必要です。「その地区やコロニーの外猫の避妊去勢手術が完了してしまった」のであれば、対象地区の見直しが必要です。(p48-49)

 

直接的指標(direct metric)

猫の数を直接数えるのがもっとも単純明快ですが、対象地区が極めて狭い場合でなければ困難です。(p49)

 

間接的指標(indirect metrics)

① 全頭受入れ型のアニマルシェルター(open admission shelter)への受入れ数

シェルターが受け入れる外猫の数が減るということは、通常外猫の個体数減少を意味します。しかしシェルターの方針変更(受け入れ方針や営業時間など)によっても変化(多くの場合減少)するので注意が必要です。(p49)

 

② 外猫に関する苦情数

外猫の苦情数が減少したとしても、最初のうちは個体数減少というよりは避妊去勢手術による繁殖行動の抑制による可能性もあります。苦情の減少が長期的に続くのであれば、外猫の個体数が減少していることを示唆しているものと考えられます。(p50)

 

③ 外猫の保護支援要請件数

TNR活動が始まった当初は、外猫の保護支援件数が急増する可能性がありますが、外猫の避妊去勢手術が進めば、その件数も減少していくはずです。(p50)

 

④ その他

ミニコミ誌やインターネットへの「子猫譲ります」という広告の数、動物病院への相談数、耳カットされた猫の目撃情報、餌場の猫の数など、参考にできるデータはたくさんあります。またそもそもその地点が「ホットスポット」であると判断したデータがあれば、そ実施前と実施後の数値を比較することも有効です。野良猫の世話人に、定期的にコロニーの大きさを報告してもらうことも考えられます。(p50)

 

データ解釈の考え方

これらの指標を評価する際に、同時期の対象地域外のデータと比較することは有用です。例えば外猫のシェルターの受入れ数がさほど変わらなかったとしても、近隣の他地区の受入れ数が増加していたとしたら、この取り組みには効果があったといえるでしょう。(p50)