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Micro-targeting

Targeting(地区を絞った集中的なTNR)の際に、野良猫の生息適地をピンポイントでTNRを行う、いわゆるMicro-targetingも有効です。Bryan Kortis (2014)の” PetSmart Charities Community TNR: Tactics and Tools”にはこう記載されています。

 

Within a target area, there may be types of locations where free-roaming cats are more likely to be found in higher numbers than elsewhere. These kinds of places often have large, easily accessible food sources and can include apartment complexes, shopping centers, business districts (especially if they have many restaurants), mobile home parks and landfills. Parks can be home to large colonies, too, because of the abundant shelter. Focusing on these kinds of locations within a target area, because of their relatively high cat populations, can be an effective tactic.

対象地域内には、他の地区よりも外猫が多く生息している可能性が高い場所がある場合があります。こういった場所には大規模で容易に利用できる餌場が多く、集合住宅群、ショッピングセンター、ビジネス街(特に飲食店が多い場合)、トレーラーハウスの駐車場、ゴミ埋立地などが含まれます。公園はねぐらが豊富なため、大きなコロニーになることもあります。対象地域の中で、猫の生息数が比較的多いこのような場所を対象にすることは、効果的な方策となり得ます。(p51)

 

※のらぬこの補足

日本において大規模なTNRは珍しく、ほとんどは小規模な草の根のTNR(「地域猫活動」もその一種)ではないかと思います。その多くはピンポイントで場所を絞って行う、ここでいうところのMicro-targetingのような形態で実施されています。

どれくらいのペースで野良猫の個体数が減少するのか、当然ながらコロニーの規模や居住環境などによって異なるでしょうが、Micro-targetingが非常にうまくいった例として、西日本のある地域で行われた「地域猫活動」についてご紹介します。うまくいけばこれくらいのペースで野良猫の個体数を減らすことができるという好例だと思います。

この例では、5年間で野良猫の個体数が約5分の1になりました。コロニー構成の詳細については不明ですが、もともとその地点には、15匹の野良猫が生息していました。初年度はそのうち9匹を捕獲し、避妊去勢手術を実施しました。翌年に子猫が生まれてしまい19匹になりましたが、子猫も含め残りの10匹に避妊去勢手術を実施しその地点におけるTNRは完了しました。その翌年には野良猫の個体数は14匹となり、その翌年は8匹、さらに翌年には3匹になりました。このデータから推測すると、この地点における野良猫の平均寿命は4年程度となり、一般的な野良猫の平均寿命に近いといえます。