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「世話人」の教育 その1

Grassroots Mobilization(草の根動員)は一般市民にTNRに参加してもらおうとするものですが、実際に作業の多くは野良猫に餌をやっているコロニーの「世話人(caretaker)」が担うことになります。Bryan Kortis (2014)の” PetSmart Charities Community TNR: Tactics and Tools”においては、世話人のトレーニングについてかなりの紙面を費やしています。

 

世話人のトレーニング

トレーニングのやり方は、世話人がどの程度TNRに関わるかによって変わってきます。

 

現場での指導

世話人が猫の捕獲にのみ従事するのであれば、現場での指導(in-field instruction)のみで済むかもしれません。具体的には、捕獲器の設置や餌付け(set and bait the traps)、捕獲後に職員が猫を運ぶまでの間、猫にカバーをかけ捕獲器を安全な場所に置く(cover them up once a cat is inside and put traps in a safe place until program personnel come to transport cats)などの方法について教育します。(p99)

 

ワークショップ形式による研修

もし世話人が避妊去勢手術の予約から手術後の猫の世話まで、すべての過程を行うことを期待されているのであれば、ワークショップ形式による事前研修を行う必要があるでしょう。しかしいきなりハードルを上げると、特に人口の少ない地域の場合、ワークショップに人が集まらないかもしれません。そのあたりのさじ加減の重要性について、Kortisはこう述べています。

 

The more caretakers do themselves, the more benefit accrues to the TNR program. But any TNR program’s expectations of what caretakers will take on must match the local culture. It does no good to offer a workshop if no one attends. In that case, moderating expectations about what people will do and offering on-site training for a more limited role may be the most that can be accomplished. Every community will be different, but in general, the more populous the area, the more likely workshops will attract a steady flow of attendees. 

世話人が自分でやればやるほど、TNR活動に利益がもたらされます。しかし、どのようなTNR活動であっても、世話人が何を引き受けてくれるかという期待は、その地域の文化に合ったものでなければなりません。ワークショップを開催しても、誰も参加しなければ意味がありません。そのような場合は、世話人が何をしてくれるかという期待を抑え、より限定的な役割のために現地でトレーニングを行うことが、最も達成感のある方法かもしれません。地域によって異なりますが、一般的には人口の多い地域ほど、ワークショップに安定した参加者が集まる可能性があります。(p99)