「草の根動員」によるTNR活動においては、地域のさまざまな協力者とのコミュニケーションが必要となります。そのことについて、Bryan Kortis (2014)の” PetSmart Charities Community TNR: Tactics and Tools”から見ていきます。
相談窓口の一元化
野良猫について助けを求めている人の中には、TNRという言葉も知らない人もいるかもしれません。草の根動員においては、そういった人たちに手を差し伸べることも重要です。そのためには、「野良猫に関する相談はココ!」という一元化された窓口を設けることが理想的です。単一の機関がさばききれないほどの相談件数があれば話は別ですが、野良猫に関するすべての相談は「幹事機関」に転送され、そこで受け付けるようにすれば、相談者の利便性が向上するだけではなく、「窓口によって言うことが違う」といったトラブルも防止できます。(p108)
ウェブサイトによる情報発信
TNR活動のウェブサイトには、2つの役割があります。
・TNRの基本的な説明と連絡先の紹介
・地域で利用できるTNRに関するリソースの紹介
ここで紹介されるリソースには、捕獲器バンク(trap banks)、ワークショップ(workshops)、避妊去勢手術の提供者(spay/neuter providers)、捕獲の支援やアドバイス(trapping assistance and advice)、移送手段(transportation)、庭から猫を排除するための人道的手段(humane deterrents for keeping cats out of gardens and yards)、冬の寝床の入手方法(winter shelter sales or giveaways)に関する情報などが含まれます。
TNR活動のウェブサイトを誰が運営するかは地域によって異なります。地元の行政機関のウェブサイトを利用することもありますし、幹事機関が運営する場合もあります。どちらにしても、各参加団体がそれぞれのウェブページを立ち上げ発信することは避けるべきです。
ウェブサイトを公開する際には、個人情報の保護に留意するとともに、著作権の侵害を避けるべきです。(p109)
電子メールやSNS
草の根のTNRにおいては、協力者どうしをつなぎ協力し合うことで、リソースを拡大することができます。その際に強い武器となるのが電子メールやSNSなどのネットワークです。例えばテキサス州サンアントニオのSan Antonio Feral Cat Coalitionは、ワークショップの受講者の電子メールアドレスを登録しておいて、相談を受けるとその近くの受講者に電子メールで対応を依頼するといったことを行っています。さらに進んで、ネットワーク管理者が直接オンライングループを運営したり、SNSのグループを作成するなどという方法も考えられます。 (p109)