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世話人へのサポート(Caretaker support)

「草の根動員」によるTNR活動においては、野良猫の世話人に対するサポートが重要になります。世話人同士をつなぐことや、専門家によるアドバイスも重要なサポートではありますが、ここでは物的サポートについて、Bryan Kortis (2014)の” PetSmart Charities Community TNR: Tactics and Tools”から見ていきます。

 

餌のサポート

TNR後の野良猫を継続的に管理していく場合、最も大きな出費は餌代です。世話人が自己負担することが多いのですが、世話人の経済状況によってはままならない場合もあり、かといってTNR活動の一環としてすべてのコロニーの世話人に餌代を支給することも困難です。そこで広く餌の寄付を募るための「フードドライブ(フードバンク)」や「寄付イベント」といったアイディアが提示されています。(p110)

 

Programs can arrange food drives if there is a convenient location where people can drop off bags and cans and the food can be stored for a couple of weeks before being distributed. If not, a holiday event is another option. Invitations to the event can ask each attendee to bring a bag of cat food and caretakers can come by afterwards to take the donations away.

人々が袋や缶を置くことができ、配布する前に2週間ほど保管できる便利な場所があれば、food driveを実施することができます。そうでない場合は、休日にイベントを開催するのも一案です。イベントの招待状には、参加者一人一人にキャットフードの入った袋を持参するよう書いておき、イベント終了後に世話係が寄付を持ち帰るようにします。(p110)

 

※food drive:地域社会において、広く食料の寄付を募る米国の助け合い運動。集められた食料はフードバンクに集積され、必要としている人々に配られる。

 

ねぐら(shelter)のサポート

餌と同じくらい、ねぐらも重要です。特に寒冷地においては、冬の寒さをしのぐことができるねぐらが必須です。ねぐらは世話人が自ら作ることができますが、TNR活動に資金的余裕があれば、完成品を配布したり購入費を補助したりすることもできます。(p110)

 

譲渡の促進

子猫や人なれした猫の譲渡も、世話人のサポートの一つです。多くの世話人はそういった猫を一時収容するスペースやスキルを持ち合わせていないため、アニマルシェルターや動物保護団体がTNR活動に参画することは一定の意義があります。また離乳前の子猫の世話や譲渡前の子猫の社会化についてのサポートの役割も期待できます。地元の動物保護団体が一時収容に対応していない場合、TNR実施団体が里親募集サイトに情報を掲載するといったサポートのやり方もあります。(p110-111)