TNRの語り方(How to Talk TNR) その4

ASPCA(米国動物虐待防止協会)のホームページの「TNRの語り方(How to Talk TNR)」という記事に記載されている、TNRが地域の人たちにもたらすメリットの続きです。

https://www.aspcapro.org/resource/how-talk-tnr

 

Less noise(騒音が減る)

Neutered cats make less noise and fight less. In fact, some research indicates that animal control receives fewer feral cat complaints when TNR is implemented in a community.

去勢された猫は騒音が少なく、けんかも少なくなります。実際、一部の研究では、TNRが地域で実施された場合、動物管理機関への野良猫の苦情が少なくなることが示されています。

 

【のらぬこの解説】オス猫を去勢すると繁殖行動が抑制され、鳴き声やけんかもかなり少なくなります(ゼロにはなりませんが)。

 

Rodent control(ネズミが増えない)

Although there is not a lot of research on this topic, some neighbors of feral cat colonies report a decrease in rodent populations.

このトピックに関する研究はあまりありませんが、野良猫のコロニーの近辺では、齧歯類の個体数が減少していると報告している人もいます。

 

【のらぬこの解説】たしかに都市部ではメリットと言えるのかもしれませんが、地域によっては希少生物の生息を脅かすというデメリットになる可能性もあります。

 

Disease reduction(感染症の減少)

Most rabies is transmitted by wildlife, not feral cats. Even so, the majority of TNR programs vaccinate ferals for rabies—meaning vaccinated feral cats are much less likely to acquire or transmit the virus and much less likely to pose a threat to humans or other animals. Additionally, some TNR programs offer a FVRCP (Feline Viral Rhinotracheitis, Calicivirus and Panleukopenia) vaccination.

ほとんどの狂犬病は野良猫ではなく、野生生物によって感染します。それでも、TNR活動の大部分においては、野良猫に狂犬病ワクチンを接種します。つまり、ワクチン接種された野良猫は、ウイルスを獲得または感染させる可能性がはるかに低く、人間や他の動物に脅威を与える可能性がはるかに低くなります。さらに、一部のTNR活動では、FVRCP(猫ウイルス性鼻気管炎、カリシウイルス、汎白血球減少症)の予防接種が提供されています。

 

【のらぬこの解説】米国は狂犬病発生国なので、狂犬病予防の観点から、TNRの際に狂犬病ワクチンを接種する必要があります。幸いにも日本は狂犬病清浄国なのでそこまでする必要はありませんが、TNRの際に3種混合ワクチンを接種することが奨励されています。これは人獣共通感染症を直接予防するものではありませんが、野良猫の健康を維持することは人獣共通感染症に感染するリスクを低下させ、結果的に公衆衛生の向上に寄与します。