TNRは野良猫による迷惑行為を人道的に軽減する方法であるといえますが、地域住民に対して、野良猫の存在を容認し、猫に伴う諸問題に対し一定の受忍を求める方法であるともいえます。単に野良猫を野放しにしておくだけでは、「野良猫は捕獲し駆除すべき」という声が上がりかねません。そうならないように、野良猫が地域と共存できるような方策が求められるわけです。これらの方策は、野良猫による迷惑行為を直接軽減するという意味もありますが、地域住民に対して「これだけの対策を講じている」ということを示すことにより、TNRに対するイメージを改善させるという意味合いもあります。
ここでご紹介するのは、ASPCA(米国動物虐待防止協会)のホームページの記事「5 Tips to Make Community Cats Better Neighbors(野良猫をより良い隣人にするための5つのヒント)」(https://www.aspcapro.org/resource/5-tips-make-community-cats-better-neighbors)です。これから、5つの方法について具体的に見ていくことにしましょう。
最初に用語を整理しておきますと、feral catは野外で生まれ育った「野猫」、stray catは元飼い猫である「迷い猫」、そしてそのどちらかを問わず、地域に根付いて生活している自由生活の猫がcommunity catです。community catを直訳すると「地域猫」ですが、日本の「地域猫」とは定義が異なるため、本ブログでは「野良猫」または「地域の猫」と訳しています。
はじめに
For community cat caretakers, practicing good neighbor relations is often as easy as following responsible colony care protocols.
野良猫の世話人にとって、良好な隣人関係を構築することは、責任あるコロニー管理手順と同じくらい簡単です。
You can take preemptive steps to help avoid potential questions or concerns altogether—and if you do hear concerns or complaints from neighbors, there are simple solutions available.
潜在的な疑問や懸念を完全に回避するための先制措置を講じることができます。隣人から懸念や苦情を聞いた場合は、簡単な解決策を利用できます。
Here are five tips to help neighborhood cats and people co-exist peacefully.
ここでは、近所の猫と人々が平和に共存するための5つのヒントを紹介します。
ここで紹介される5つのヒントは、次のとおりです。
その1:適切な獣医療を提供する(Provide Proper Vetting)
その2:餌場を清潔に保つ(Keep Feeding Stations Tidy)
その3:望ましくない場所への侵入防止(Prevent Trespassing)
その4:決まったトイレを提供する(Provide Acceptable Litterboxes)
その5:猫にねぐらを提供する(Make Cat Shelters a Priority)
次回から、それぞれを具体的に見ていくことにしましょう。