野良猫の予防医学 その2

TNRの際に野良猫に施される「適切な」獣医療について、ウィスコンシン大学マディソン校のFerrell博士によるQ&A(https://www.uwsheltermedicine.com/library/resources/what-is-recommended-for-tnr-programs-and-management-of-community-cats)(2019)をご紹介しています。

 

b. Do you apply flea prevention, and what kind?

ノミ予防薬を投与していますか、またどのような種類ですか?

In some cases, it might be included within the costs of the program, while others might give the caretakers the option to treat or not to treat in order to reduce costs and ultimately perform more surgeries. In the latter case, it is important to have treatment options on hand (either topical treatments such as Revolution® or ®, or fast acting oral/rectal treatments such as Capstar®), to treat cats with mites or fleas accordingly, to avoid transmission to other animals and preserve sterility during surgery.

外部寄生虫に対する治療の選択は、プログラムによって異なるかもしれません。場合によっては、プログラムの費用の中に含まれるかもしれませんし、費用を削減するために治療するかしないかの選択肢を世話人に与え、最終的にはより多くの手術を行うこともあるかもしれません。後者の場合、他の動物への感染を防ぎ、手術中の無菌状態を保つために、治療法(「レボリューション」や「アドバンテージ・マルチ」などの外用剤、「キャプスター」などの速効性の経口・直腸投与剤)を手元に用意し、ダニやノミのいる猫に適宜治療を行うことが大切です。

 

【のらぬこの解説】ノミに効果がある外用薬はいくつかありますが、やはり避妊去勢手術の際に投与してしまうのが簡単です。ただし1匹につき1,000円前後のコストがかかるので、野良猫の世話人の負担軽減の観点からオプション扱いにすることも多いようです。とはいえ、手術台に乗せられた猫がノミだらけだった場合、そのまま放置するわけにもいきませんから、獣医師の判断でノミの駆除を行うことになります。

 

「レボリューション」(主成分:セラメクチン)は、ノミの成虫や卵に効果がある外用薬です。耳ダニや回虫にも有効です(鉤虫にも有効とされていますが、日本では適用外です)。

「アドバンテージ・マルチ」(主成分:イミダクロプリド、モキシデクチン)は、日本では「アドボケート」の商品名で知られる外用薬です。ノミ成虫、耳ダニ、回虫や鉤虫に有効です。

「キャプスター」(主成分:ニテンピラム)は、ノミ成虫の即効性駆除薬です。日本では経口投与用として販売されていますが、米国では直腸内投与でも用いられています。

 

製品によっては、投与する猫の月齢や体重に制限がありますし、ノミ以外にどのような寄生虫に効果があるかも製品によって微妙に異なります。