猫の避妊去勢手術の月齢について その3

猫の避妊去勢手術の月齢について、AVMA(米国獣医師会)のVeterinary Task Force on Feline Sterilization(猫の避妊去勢に関する獣医特別委員会)によるRecommendations for Age of Spay and Neuter Surgery(避妊去勢手術の年齢に関する提言)にはこう書かれています。

 

The following key findings and proposals emerged from a review of the currently available scientific literature and group discussion:

現在入手可能な科学文献のレビューとグループディスカッションから、以下のような重要な発見と提案がなされました。

 

1. Recommendations for the optimal age to sterilize cats may differ from the age to sterilize dogs.

1.猫の避妊去勢手術に最適な年齢の推奨事項は、犬とは異なる場合があります。

 

【のらぬこの解説】一般に犬よりも猫の方が、繁殖可能になる月齢が早いので、必然的に犬よりも猫の方が避妊去勢手術推奨年齢は早めになります。

 

2. Current scientific evidence documents benefits of spaying kittens before the first estrous cycle, including the following:

2.現在の科学的根拠に基づく論文は、以下を含む、最初の発情の前に子猫を避妊手術することの利点について報告しています。

• Decreased risk for mammary carcinoma

•乳がんのリスクの低下

• Elimination of reproductive emergencies such as pyometra and dystocia 

•子宮蓄膿症や難産などの生殖に関する緊急事態の排除

• Avoidance of unintended pregnancies that may occur as early as 4 months of age

•生後4か月という早い時期から発生する可能性がある意図しない妊娠の回避

• Potential decrease in behavioral problems linked with cat relinquishment.

•猫の遺棄に伴う問題行動の減少が期待できる

 

【のらぬこの解説】「生殖器系の病気の予防」「望まない妊娠の回避」は避妊手術の一般的なメリットですが、「乳がんのリスク低下」は初回発情以前の避妊手術で顕著です。

 

3. Current evidence does not support an increased risk for cats of complications or long-term adverse health effects with pediatric (6-14 weeks) or juvenile (>16 weeks) sterilization. 

3.現在のところ、幼齢猫(6~14週)または子猫(16週以上)の避妊去勢手術による合併症や長期的な健康への悪影響の猫へのリスク増加を支持するエビデンスはありません。

 

【のらぬこの解説】避妊去勢手術を早期に行ったことを要因とする健康上の悪影響は報告されていません。

(続く)