· 

MASHの参考文献等

私が猫のMASH(いわゆる「一斉手術」)について勉強する際に参考にしているサイト&文献を紹介しておきます。

 

Levy(2013)”Quantity AND Quality: MASH Clinics for Large-Scale Cat Spay/Neuter”

猫のTNR研究の第一人者である、フロリダ大学のJulie Levy先生の講義がYouTubeで見られます。これはウィスコンシン大学で行われた”University of Wisconsin Shelter Medicine Class Spring 2013”の講義記録です(https://youtu.be/Qs0p1gfVO-g)。どちらかというと概論的な講義で、MASHスタイルのHQHVSN(高品質・大量の避妊去勢手術)の流れについてテンポよく解説されています。HQHVSNの前提となるTNRやFeral Freedomの説明も入るため、やや冗長な気もしますが(大学の講義なので仕方がないのでしょうが)、写真や動画で手術の様子がイメージできますし、何より第一人者による講義ですので、英語が苦にならない方は是非ご覧ください。

 

White(2020)”MASH Clinics”

個人のブログの記事で、自身が行っているMASHについて、具体的に述べられています(https://ergovet.com/mash-clinics/)。どちらかというと実践的な内容といえます。Sara White先生は、バーモント州とニューハンプシャー州でMASHスタイルの避妊去勢手術を行っているSpay ASAP Inc.の代表者で獣医師です。HQHVSNの教科書”High-Quality, High-Volume Spay and Neuter and Other Shelter Surgeries”の編者でもあります。またその一方で、獣医師の人間工学を研究して学位も取られている、なかなか面白い方です。「外科医のためのストレッチと筋力トレーニング」と題した記事もあります。このブログは、主に人間工学について書かれていますが、「本来業務」であるMASHについても触れられています。

 

”Shelter Medicine for Veterinarians and Staff, Second Edition”(2013)

私が愛読しているシェルターメディスンの教科書ですが、第37章(シェルターと地域の動物のための避妊去勢手術サービス)と第41章(迷い猫や野猫といった野良猫の管理)でMASHについて触れられています。第41章はLevy先生が共同執筆しています。

 

注意

これらのサイトや文献を参考に、MASHについて学んでいきたいと思いますが、私が書く記事は決して獣医師のみを対象としているわけではありません。HQHVSNは「数をこなしてナンボ」の世界です。特にMASHスタイルのHQHVSNは会場設営や猫の管理など、多数のスタッフがいないと成り立ちません。執刀する獣医師がいれば成り立つというものではありません。むしろ獣医師でなくてもできることの方が多いと思います。MASHについてたくさんの人に知っていただき、たくさんの人に協力していただくことが、日本でMASHを広めていくことにつながると私は考えています。