MASH(仮設施設における猫の「一斉手術」)の利点について、White(2020)の記述(https://ergovet.com/mash-clinics/)を引用しながら述べていきたいと思います。
MASHの「適応性」
White(2020)はMASHの利点としてまず「適応性」をあげています。
MASH clinics are adaptable and there are not specific prerequisites for regional population density or shelter animal intake.
MASHクリニックは適応性があり、地域の人口密度やシェルター動物の収容数に特定の前提条件があるわけではありません。
【のらぬこの一言】
MASHは電気と水が供給できる屋内であれば実施可能ですから、そういう場所さえ確保できればどこでも実施できます。ニーズが少なければ、少ないなりに最低限のスタッフと機材を派遣すればいいわけです。そういった「適応性」はMASHの最大の魅力です。
「適応性」の例・その1 人口密度を問わない
They are suitable for rural areas where low population density does not easily support a stationary clinic (like the border area of Vermont and New Hampshire), as well as for densely populated urban areas.
MASHクリニックは、人口密度が低く、固定式のクリニックを設置することが難しい地方(バーモント州とニューハンプシャー州の境界地域など)や、人口密度の高い都市部にも適しています。
「適応性」の例・その2 シェルター支援にも向く
MASH clinics are valuable for local shelters that wish to provide in-house HQHVSN, but either cannot afford to build and equip their own surgical suites, or that have surgical areas but lack veterinary staff.
MASHクリニックは、内部でHQHVSNを提供したいが、独自の手術室を設置する余裕がない、あるいは手術室はあるが獣医師のスタッフが不足している地域のシェルターにとって貴重な存在です。
【のらぬこの一言】
アニマルシェルターにスタッフを派遣して手術を行うというのもアリです。
「適応性」の例・その3 海外や僻地にも向く
MASH clinics are also suitable for international and remote area spay-neuter programs.
MASHクリニックは、海外や僻地の避妊去勢手術プログラムにも適しています。
【のらぬこの一言】
特に人口の少ない離島などでは、MASH以外の選択肢がない場合もあります。