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MASHの術後ケア その2

MASH(仮設施設における猫の「一斉手術」)の術後ケアについて、White(2020)(https://ergovet.com/mash-clinics/)の記述から見ています。

 

Some MASH programs have established relationships with specific local veterinarians or emergency clinics within their service areas who are willing to provide emergency care, and in some cases, the clients may be provided with this contact information instead of or in addition to contact information for the MASH clinic. Other MASH programs establish relationships with local practices as needed, as the geographical areas covered by some MASH programs are large enough that specific local relationships may be difficult to establish. Regardless, it is essential that the MASH clinic have a plan in place for how they will address follow-up or emergency care for their patients.

一部のMASHプログラムは、救急医療を提供する管轄地域内の特定の地元の獣医師または救急動物病院との関係を確立しており、場合によっては、MASHの連絡先情報の代わりに、またはそれに加えて、クライアントにこれらの診療所の連絡先情報が提供されることがあります。一部のMASHプログラムの対象となる地域は広すぎて、特定の地域の関係を確立するのが難しい場合があるため、他のMASHプログラムは必要に応じて地域の開業医との関係を確立しています。とにかく、MASHクリニックは、患者のフォローアップや救急医療にどのように対処するかについて計画を立てることが不可欠です。

 

【のらぬこの一言】

MASHといえども外科手術を行うわけですから、術後のフォローアップや緊急対応は必要です。しかしMASHは仮設の臨時動物病院ですから、その場所にずっととどまっているわけではありません。手術を担当した獣医師も、すぐにその場所に出向くことができるとは限りません。そのため、地元動物病院との協力体制が必要になります。地元動物病院にとって、MASHはいわば「商売敵」のはずですが、なぜ協力体制を築くことができるのでしょうか。

米国においては、MASHを含むHQHVSN(高品質・大量の避妊去勢手術)はあくまでも助成事業(慈善事業)と位置付けられていて、一般のペット獣医療とすみ分けています。AVMA(米国獣医師会)のホームページ(https://www.avma.org/resources-tools/animal-health-and-welfare/elective-spaying-and-neutering-pets)にもこう記述されています。

 

Low-cost or no-cost spay/neuter programs are subsidized programs, often run by nonprofit or governmental agencies, designed to reduce pet overpopulation by providing pet sterilization services for owners who otherwise could not afford to have their pet spayed or neutered. 

低価格または無料の避妊去勢手術プログラムは、非営利団体や行政機関によって運営されていることが多く、避妊去勢手術を受ける余裕のない飼い主に手術サービスを提供し、ペットの過剰繁殖を減らすことを目的とした助成プログラムです。