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MASH当日の心構え

MASH(仮設施設における猫の「一斉手術」)の当日の心構えについて、White(2020)(https://ergovet.com/mash-clinics/)の記述から見ていきます。

 

手術当日(The Day of Surgery)

MASH clinics are typically located in different venues with a different layout each day. Collaborative MASH clinics work with different assistant staff each day, as provided by the host organization. These changes can affect clinic flow and efficiency, and they require the MASH veterinarian and technician to adapt to a variety of new situations and circumstances.

MASHクリニックは通常、日々異なるレイアウトの会場に設置されています。協働型MASHクリニックでは、受入団体が提供するアシスタントスタッフが毎日異なる体制で働いています。こうした変化は診療の流れや効率に影響を与えるため、MASHの獣医師や看護師はさまざまな新しい状況や環境に適応していく必要があります。

 

【のらぬこの一言】

固定式のスペイクリニックであれば日々の会場設営は必要なく、いつものスタッフと業務を行います。また独立型MASHであれば日々の会場設営は必要ですが、気心の知れたスタッフと業務を行います。しかし協働型MASHは日々違う会場で、異なるスタッフと業務を行います。特に受入団体の組織体制やスタッフのスキル・経験値などによって、MASHの業務遂行能能力は著しく変化します。また会場によっては思うように作業が進まないこともあります。MASHに従事する医療チーム(獣医師+獣医看護師)は、そのことを十分に認識しておく必要があります。つまり受入団体のスタッフや会場などの様子を見ながら、受入団体に対して臨機応変に指示を出していく必要があります。

「協働」において受入団体とMASHチームは理論上対等のはずですが、医療行為そのものに限って言えば、MASHチームが主導権を持つべきです。そこに必要なのは「リーダーシップ」と「コーディネート能力」です。日本語で言い換えると「調整しながら指示を出す」能力です。スタッフが経験豊富なベテラン揃いであればざっくりとした指示でもいいかもしれませんが、初心者のスタッフばかりの場合は、きめ細やかな指示が必要となります。場合によってはスタッフの中で比較的経験値の高い人をコーディネーターとして選出し、一元的に指示を伝える必要があるかもしれません。しかも一方的な指示ではなく、現場で対応可能な現実的な指示を出す必要があります。そのあたりの「さじ加減」がMASHチームには求められます。