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MASHの「一日」 その2

MASH(仮設施設における猫の「一斉手術」)における1日の勤務時間について、White(2020)(https://ergovet.com/mash-clinics/)の記述から見ています。

 

The time required for these additional tasks of driving, setup, and packing means that MASH clinics are not the most efficient clinic model in regards to use of the veterinarian’s and technician’s professional time. A MASH that employs only one veterinarian and one technician may be operating “full time” (36-40 hours a week) with just 3 clinics—or about 100 surgeries—per week, if the technician is also preparing packs between surgery days, and the veterinarian is acting as administrator and business manager. However, despite achieving fewer surgeries per full-time veterinarian, the lower overhead costs mean that the cost-per-surgery is equivalent to that of a stationary clinic. This allows MASH clinics to pay hourly wages to the veterinarian and technician that are on a par with, or in some cases greater than, stationary or self-contained mobile HQHVSN clinics.

このように移動、設営、梱包などの作業に時間がかかるため、MASHクリニックは獣医師と看護師の専門的な時間の使い方という点では、最も効率的なクリニックモデルとは言えません。獣医師と看護師が1人ずつしかいないMASHでは、看護師が手術の合間に荷物の準備も行い、獣医師がクリニック管理者と経営管理者を兼任しているような場合、「フルタイム」(週36~40時間)の勤務においても週に3か所のMASH手術、つまり週100件程度の手術しかできないこともあるようです。しかし、常勤獣医師一人当たりの手術件数は少ないものの、諸経費が少ないため、手術単価は固定式のクリニックと同等です。このため、MASHクリニックは獣医師と看護師に、固定式やモバイルタイプHQHVSN(高品質・大量の避妊去勢手術)クリニックと同等か、場合によってはそれ以上の時給を支払うことができるのです。

 

【のらぬこの一言】

通常、協働型MASHの医療チームは獣医師と獣医看護師の2名で編成されます。手術当日の会場や患者の管理は受入団体のボランティアに任せることができますが、拠点における滅菌や梱包などの作業や事務処理などはこの2名で行うことになります(拠点作業専門のパートタイム職員を雇うこともあります)。会場への移動時間なども含めるとあまり効率的とはいえず、手術件数も思ったほど稼げません。しかしその分、人件費や会場に係る固定費などが節約できるため、手術料金を安く抑えながらも獣医師や看護師に著しく高給ではないにしても、それなりの給与を支払うことができるのです。