人里で徘徊する「ノラネコ」については「鳥獣保護法(以下「法」とする)」で規定する「鳥獣」(野生動物)に該当しませんが、山野で完全に自活する「ノネコ」については「鳥獣」とみなされます。「ノネコ」を合法的に捕獲する方法のひとつが、環境大臣または都道府県知事の許可を受けて捕獲する方法です。
環境大臣の許可による捕獲
鳥獣保護区内で「ノネコ」を捕獲しようとする際には、環境大臣の許可が必要です。法ではこう規定されています。
第九条 学術研究の目的、鳥獣の保護又は管理の目的その他環境省令で定める目的で鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をしようとする者は、次に掲げる場合にあっては環境大臣の、それ以外の場合にあっては都道府県知事の許可を受けなければならない。
一 第二十八条第一項の規定により環境大臣が指定する鳥獣保護区の区域内において鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をするとき。
二 希少鳥獣の捕獲等又は希少鳥獣のうちの鳥類の卵の採取等をするとき。
三 その構造、材質及び使用の方法を勘案して鳥獣の保護に重大な支障があるものとして環境省令で定める網又はわなを使用して鳥獣の捕獲等をするとき。
「ノネコ」は「希少鳥獣」ではありませんから、二については該当しません。また通常「ノネコ」は通常「箱わな」で捕獲しますので、三についても該当しません。
知事の許可による捕獲
鳥獣保護区外で「ノネコ」を捕獲しようとする際には、都道府県知事の許可が必要です。
「ノネコ」の捕獲許可
許可捕獲の目的としては、法で明記されている「学術研究の目的」「鳥獣の保護又は管理の目的」のほかに、「環境省令で定める目的」があります。
第五条 法第九条第一項の環境省令で定める目的は、次に掲げる目的とする。
一 博物館、動物園その他これに類する施設における展示
二 愛玩のための飼養
三 養殖している鳥類の過度の近親交配の防止
四 鵜飼漁業への利用
五 伝統的な祭礼行事等への利用
六 前各号に掲げるもののほか公益上の必要があると認められる目的
ちなみに「ノネコ」の捕獲許可は「愛玩のための飼養」ではなく「鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害の防止」という名目で出されています。