人里で徘徊する「ノラネコ」については「鳥獣保護法(以下「法」とする)」で規定する「鳥獣」(野生動物)に該当しないので、捕獲に関する規制はありません。しかし山野で完全に自活する「ノネコ」については「鳥獣」とみなされます。「ノネコ」は「狩猟鳥獣」に指定されているため、狩猟により捕獲することが可能です。しかし狩猟免許を取得し猟具(わななど)を備えたとしても、すぐに捕獲ができるわけではありません。「ノネコ」を狩猟するにはここまで面倒な手続きが必要だということだけお知りおきください。
ステップ1 狩猟免許の取得
狩猟免許には、猟法ごとに、第一種銃猟免許(散弾銃、ライフル銃)、第二種銃猟免許(空気銃)、わな猟免許、網猟免許の4種類があります。「ノネコ」を捕獲器で狩猟するには「わな猟免許」が必要です。狩猟免許試験は、免許の種類ごとに、各都道府県において実施されています。銃猟を行うのであれば、銃刀法に基づく所持許可が別途必要ですが、ここでは割愛します。
ステップ2 猟具の入手
箱わなの所持に関しては、特に手続きは不要です。購入してもよいですし、自作も認められています。
ステップ3 狩猟者登録
実際に狩猟を行うためには、狩猟を行おうとする都道府県ごとに「狩猟者登録」を行い、狩猟税を納めなければなりません(当然のことながら、狩猟者登録には狩猟免許が必要です)。また登録の際には、3,000万円以上の損害賠償保険に加入するか、これと同等の賠償能力を証明することが必要です。狩猟者登録を行うと、「狩猟者登録証」、「狩猟者記章」、「鳥獣保護区等位置図(ハンターマップ)」等が配布されます。
結論
許可捕獲にしても、狩猟にしても、野生動物としての「ノネコ」を捕獲するには一定の手続きが必要です。しかし野生動物ではない「ノラネコ」の捕獲については、少なくとも「鳥獣保護法」の規制は受けません。ただし「ノネコ」も「ノラネコ」も同じ動物種で、外見やDNA鑑定等で判別することはできません(解剖して胃の内容物を分析すればわかるのかもしれませんが、それとて状況証拠にすぎません)。TNRに反対する人たちはそこを都合よく解釈し、あたかも「ノラネコ」の捕獲に関しても「鳥獣保護法」の規制が適用されるかのような言説を流すのです。少なくとも「ノネコ」が生息している可能性がある山野でTNRを実施する際には、変なツッコミが入らないよう細心の注意が必要であるといえそうです。