早期避妊去勢手術~英国の場合~

米国獣医師会(AVMA)が、米国内の猫関連団体の総意として猫の避妊去勢手術について、5ヶ月齢までの実施を推奨していると以前書きましたが、英国においても同様の声明が出されています。

英国のThe Cat Groupは、英国小動物獣医師会 (BSAVA)、国際猫医学会(ISFM)、英国動物虐待防止協会 (RSPCA)など、英国内の猫関連団体の集まりで、避妊去勢手術だけではなく、獣医療に関するいくつかの声明を発表しています。

そのうち、2006年に発表された“Timing of neutering”(避妊去勢手術の時期)という声明をご紹介します。原文および参考文献はhttp://www.thecatgroup.org.uk/policy_statements/neut.htmlをご確認ください。

 

猫の避妊去勢手術は4か月齢を推奨

Traditionally both male and female cats have been neutered at six months old. For social, health and population control reasons, there is a strong case for neutering earlier. People working with feral cats may already be neutering at a much earlier age – often around eight weeks old, but basically when they can catch the kittens as they are unlikely to get a second chance. This is often referred to as ‘early neutering' and is touched upon in this paper. However the main thrust of this statement is aimed at owned and rescue kittens which are going to make pet cats rather than survive in the wild. For this The Cat Group is arguing a case for ‘earlier' neutering at around four months rather than the traditional six months.

伝統的に、オスとメスの両方の猫は、生後6か月で避妊去勢されています。社会、健康、および個体数抑制の理由から、早期に避妊去勢することが強く推奨されます。野良猫の世話をしている人は、かなり早い年齢で避妊去勢手術をしている可能性があります。多くの場合、生後 8 週間前後ですが、基本的には子猫を捕まえることができたときに避妊去勢手術を行っています。これは「早期避妊去勢」と呼ばれることが多く、この論文でも触れられています。ただし、この声明の主な目的は、野外で生きる猫よりも、ペットになる予定の飼い猫や保護猫に向けられたものです。このため、The Cat Group は、従来の 6 か月ではなく、約4か月で「早期に」避妊去勢手術を行うべきであると主張しています。

 

【のらぬこの一言】

この声明は、いきなり結論からぶっこんできます。ここでは米国よりも1カ月早い「4か月齢」での猫の避妊去勢手術を推奨しています。その根拠について、以下述べられていきます。なお、TNRの際に子猫を捕獲した場合、8週齢以降(または手術可能)であれば避妊去勢手術を行うというのは、保護猫や野良猫では一般的に行われていますが、飼い猫に対してもできるだけ早期に避妊去勢手術を行っていこうというわけです。しかし諸事情を考慮して「4か月齢」ということになっています。