英国の猫関連団体の連合体であるThe Cat Groupは、2006年の“Timing of neutering”(避妊去勢手術の時期)という声明(http://www.thecatgroup.org.uk/policy_statements/neut.html)で、子猫の避妊去勢手術の具体的なタイミングについて述べられています。
Kitten from a rescue organisation
保護団体の子猫
Kittens available for modest fee from about eight to nine weeks. Advice usually given by rescue organisation and new owners often followed up with phone calls re neutering. Some organizations provide vouchers to encourage neutering and run neutering publicity campaigns. Practice varies between organisations.
子猫は8週齢から9週齢くらいまで手頃な料金で利用できます。通常、保護団体からアドバイスがあり、新しい飼い主は多くの場合、避妊去勢手術について電話でフォローアップされます。団体によっては、避妊去勢手術を奨励するためのクーポン券を提供したり、避妊去勢手術の広報キャンペーンを行ったりしています。実施方法は団体によって異なります。
【のらぬこの一言】
前述のとおり、The Cat Groupによると保護子猫は「施設にいる間に避妊去勢手術」を原則としながらも、譲渡や里親により家庭に入った子猫は「飼い猫に準じる」、つまり「ワクチン接種完了後に避妊去勢手術を行う」こととしています。The Cat Groupのワクチン接種ガイドライン(http://www.thecatgroup.org.uk/policy_statements/vacc.html)によると、10週齢くらいまでの子猫は母猫からの移行抗体の影響を受けるため、ワクチン接種は9週齢くらいから実施するとされていますので、1回目のワクチン接種は家庭に入った後でもよいという考え方です。
The Cat Groupは、子猫のストレスを避ける観点から「ワクチン接種(1回目、2回目)」「避妊去勢手術」「譲渡(または里親)」の間には十分な間隔を空けるべきという考え方です。そのため、タイミングによっては避妊去勢手術が譲渡後になっても仕方がないと考えているようです。
このあたりの考え方は「過剰繁殖防止」「感染リスク回避」「ストレス回避」の優先順位によって変わってきます。私は「過剰繁殖防止」を最優先するべきで、保護子猫に関しては1回目ワクチン接種→避妊去勢手術→譲渡という流れでよいと考えていますが、The Cat Groupは「ストレス回避」を最優先しているようです。それはそれで動物福祉に準拠した考え方であるといえます。