英国の猫関連団体の連合体であるThe Cat Groupは、2006年の“Timing of neutering”(避妊去勢手術の時期)という声明(http://www.thecatgroup.org.uk/policy_statements/neut.html)で、子猫の避妊去勢手術の具体的なタイミングについて述べられています。ここではアニマルシェルターに収容された保護猫について見てみましょう。
Rescue organisations have these options:
保護団体には次のオプションがあります。
Neuter before homing at 10 to 12 weeks. First vaccination is usually given with the owner left to complete the course. Where kittens are neutered on site in the veterinary facility at a shelter, the risk of infection is reduced compared to taking it to an outside source.
避妊去勢手術後に、10~12週齢の子猫を譲渡します。最初のワクチン接種は、通常、飼い主にコースの完了を委ねる状態で行われます。シェルターのクリニックで子猫を避妊去勢する場合、外部に連れて行く場合に比べて感染のリスクが低くなります。
【のらぬこの一言】
The Cat Groupの「ストレス管理」の考え方からすると、8週齢で手術を行い、その数週間後に譲渡するというのは理にかなっています。そうなってくると、いつワクチンを接種するのかという課題に直面します。そのため、ワクチン接種を2回とも新しい飼い主に委ねるということになります。
収容中のワクチン接種については、The Cat Groupは「不要」(10週齢くらいまでは移行抗体が有効)との考え方ですが、シェルターメディスンの観点からは、4週齢以降であれば収容時のワクチン接種が推奨されます。本当に移行抗体が有効かどうかは、見た目ではわからないからです。移行抗体が有効であると推定される時期のワクチン接種はいわゆる「保険」のようなものですから、8週齢以降に改めて2回のワクチン接種コースを実施することは差し支えありません。
Home kittens at eight to 10 weeks with owner signing undertaking to have neutering carried out. First vaccination should be given before homing with the owner undertaking to complete the course.
飼い主が避妊去勢手術を行う契約書に署名したのちに、8~10週齢の子猫を譲渡します。最初のワクチン接種は、飼い主が2回目接種を約束して連れ帰るよりも前に行う必要があります。
【のらぬこの一言】
譲渡前に1回目のワクチン接種を行い、新しい飼い主によって2回目のワクチン接種を実施したのちに避妊去勢手術を行うという考え方です。ウチの自治体はこのパターンですが、避妊去勢手術の完全履行という観点から、あまりお勧めはできません。