英国の猫関連団体の連合体であるThe Cat GroupのWebページ “Anaesthesia for neutering kittens”(子猫の避妊去勢のための麻酔)(http://www.thecatgroup.org.uk/anaes.html)には、幼い子猫の麻酔中の注意点について述べられています。
モニタリング機器の使用
Additional aids to monitoring, applicable to both sexes, but usually only required for neutering female kittens where the surgery is longer, are measurement of arterial pressure using Doppler flow detection, pulse oximetry, ECG and capnography. Doppler flow detectors are easily applied to the digital arteries on front or hind limbs and act as a pulse detector even without being used for measuring arterial blood pressure.
雌雄両方に適用可能ですが、通常は手術に時間がかかるメスの子猫を避妊手術する場合にのみ必要とされるモニタリングの補助手段として、ドップラー血流計、パルスオキシメトリー、ECG、カプノグラフィーを使用した動脈圧の測定があります。ドップラー血流計は、前肢または後肢の指の動脈に簡単に適用でき、動脈血圧の測定に使用しなくても脈拍計として機能します。
【のらぬこの一言】
麻酔中のモニタリングは継続的な目視や触診が基本ですが、手術時間が長くなる場合には、補助的に機器を用いることもあります。よく用いられるのは、末梢血管に血液(または酸素)が巡っているかどうかを測定する方法です。ここではその方法として、次の4つがあげられています。
Doppler flow detection(ドップラー血流計):皮膚に赤外線を当て、皮下の毛細血管を流れる物体によって散乱する光の周波数を測定するものです。このことにより、毛細血管の中をどれだけの物体(主に赤血球)が流れているかを知ることができ、血圧や脈拍を推定することができます。
pulse oximetry(パルスオキシメトリー):皮膚に赤色光や赤外線を当て、皮下の毛細血管を流れる赤血球に酸素が結合している割合(酸素飽和度)を測定するものです。また同時に脈拍を測ることもできます。人間では指に挟むだけで測定できる簡易検査機が日本企業によって開発され、広く普及しています(新型コロナで有名になりました)。
ECG:心電図(Electrocardiogram)のことです。体の電気的刺激を検出して、心臓の動きを測定します。血液の流れを直接検出するわけではないので、末梢循環の指標としてはやや弱いとされています。
Capnography(カプノグラフィー):呼気中の二酸化炭素の量を測定することで、肺の中で換気がうまくいっているか(つまり、呼吸がうまくいっているか)を判定します。