子猫の麻酔の実際 その1

英国の猫関連団体の連合体であるThe Cat GroupのWebページ “Anaesthesia for neutering kittens”(子猫の避妊去勢のための麻酔)(http://www.thecatgroup.org.uk/anaes.html)には、幼い子猫の麻酔法の詳細について述べられています。

 

Anaesthetic protocols(麻酔の方法)

 

麻酔の基本

Induction of anaesthesia in young kittens is normally brought about by the use of heavy premedication given by the intramuscular or subcutaneous route and supplemented by inhalation anaesthetics given in oxygen. 

若い子猫の麻酔の導入は、通常、筋肉内または皮下注射によって投与される重い前投薬の使用によってもたらされ、酸素と混合させた吸入麻酔薬によって補われます。

 

【のらぬこの一言】

成猫の場合と同様、子猫の場合も注射による導入の後に吸入麻酔で麻酔を維持します。導入の際は皮下注射でもよいのですが、一般的には筋肉注射が可能な薬剤が好まれます。

 

導入

The most suitable agents for initial injection are benzodiazepines, ketamine and the opioids, usually given in one of a range of combinations. 

最初の注射に最も適した薬剤は、ベンゾジアゼピン、ケタミン、およびオピオイドであり、通常はさまざまな組み合わせのいずれかで投与されます。

 

【のらぬこの一言】

ベンゾジアゼピンは抗不安薬、ケタミンは麻酔薬、オピオイドは鎮痛薬です。それぞれ目的が違うため、これらの薬剤を組み合わせて用います。欧米ではさまざまな組み合わせが開発されていますが、ここでは詳細は割愛します。

 

麻酔の維持

This may provide sufficient anaesthesia for castration of male kittens but usually requires supplementation with volatile agents for females, as surgery is longer. In both cases, oxygen should be given even if volatile anaesthetics are not required. In male kittens it is sufficient to use a well fitting face mask attached to a T-piece or mini Bain circuit. 

これはオスの子猫の去勢に十分な麻酔を提供するかもしれませんが、メスの場合は手術に時間がかかるため、通常は吸入麻酔薬の補充が必要です。どちらの場合も、吸入麻酔薬が必要ない場合でも酸素を投与する必要があります。オスの子猫の場合は、Tピースまたは小さいベイン回路に取り付けられたぴったりフィットするフェイスマスクを使用するだけで十分です。

 

【のらぬこの一言】

「Tピース」や「ベイン回路」はいわゆる「非再呼吸回路」の一種ですが、詳細については割愛します。興味のある方はググってください。