子猫の麻酔からの回復 その2

英国の猫関連団体の連合体であるThe Cat GroupのWebページ “Anaesthesia for neutering kittens”(子猫の避妊去勢のための麻酔)(http://www.thecatgroup.org.uk/anaes.html)には、子猫の麻酔からの回復時の注意点について述べられています。

 

痛みの管理

Analgesia is best provided in the recovery period by multimodal methods. An opioid component of the original injection will provide pre-emptive analgesia and this is enhanced with a NSAID. Buprenorphine, 0.01 mg/kg, is the opioid of choice as this is highly effective in the cat and gives many hours post operative cover. Carprofen, 4 mg/kg, can be given subcutaneously before surgery starts and provides 24 hours analgesic cover. This approach is sufficient to provide good analgesic cover for both male and female kittens.

鎮痛は、マルチモーダル法によって回復期間に提供されるのが最適です。最初の注射のオピオイド成分は先制鎮痛を提供し、これは NSAID で強化されます。0.01 mg/kg のブプレノルフィンが最適なオピオイドです。これは猫に非常に効果的で、術後何時間もカバーできるからです。カルプロフェン4mg/kgを手術開始前に皮下投与することで、24時間鎮痛効果を発揮することができます。この方法で、オスとメスの子猫の両方に十分な鎮痛効果を発揮します。


【のらぬこの一言】

「マルチモーダル」とは複数の方法を組み合わせることをいいますが、「マルチモーダル鎮痛」とは作用機序の異なる複数の鎮痛薬を併用することで、医療の世界ではスタンダードとされています。複数の鎮痛薬を併用することにより鎮痛効果を増すことができますし、投与量を減らし結果的に副作用を軽減することができます。ここではオピオイドとNSAIDの併用について述べられています。

オピオイドは「麻薬性鎮痛薬」と言われますが麻薬のことではなく、モルヒネに似た作用を示す薬物のことです(例えばケタミンは麻薬ですが、オピオイドではありません)。NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)とは痛みや発熱の際に用いられる、いわゆる「解熱鎮痛薬」のことです。NSAIDは一定用量以上になると用量を増しても効き目が強くならない(つまり効かないのに副作用だけが増える)という特性があり、強い鎮痛効果を得るにはオピオイドとの併用が求められます。