「譲渡後の避妊去勢手術契約」の確実な履行 その1

米国デーン郡人道協会(DCHS)は「譲渡後の避妊去勢手術契約」により動物の譲渡を実施していますが、譲渡後の避妊去勢手術をどのように履行させているのでしょうか。DCHSのDonnett主任獣医師と、Matt動物医療サービス運用アシスタントへのASPCA(米国動物虐待防止協会)のインタビュー記事“They Did It: Decreased Length of Stay with Post-Adoption Spay/Neuter Contracts”(https://www.aspcapro.org/resource/they-did-it-decreased-length-stay-post-adoption-spayneuter-contracts)から見ていきましょう。

 

ASPCApro: What does DCHS do in non-compliance situations or in situations when you have to contact adopters repeatedly to get compliance?

ASPCApro: DCHSは、契約違反の状況、または契約を履行させるために譲渡先に繰り返し連絡する必要がある状況で何をしますか?

 

Donnett & Matt: We typically note a timeline (within the adoption paperwork) in which surgery needs to be scheduled. For example: “Surgery must be scheduled within 6 months of adoption by contacting AMS Operations Assistant.” If the adopter does not reach out, we will attempt contact a minimum of 2 times, usually 3. We will do this through voicemail but also use email if we have one on record. We give them a deadline to reply if they are interested in scheduling a post-adoption spay/neuter appointment. 

Donnett&Matt:手術の日程を決める必要がある場合、私たちは通常、その期限を(譲渡書類の中に)記録します。例:「動物医療サービス運用アシスタントに連絡して、譲渡から6か月以内に手術を予約する必要があります」。譲渡先から連絡がない場合は、最低2回、通常は3回連絡を試みます。これはボイスメールで行いますが、記載があれば電子メールも使用します。譲渡後の避妊去勢手術の予約に関心がある場合は、彼らに最終期限を与えます。

 

【のらぬこの解説】

DCHSが「譲渡後の避妊去勢手術契約」により譲渡した動物の避妊去勢手術は、通常DCHSの「動物医療サービス」で実施されます。新しい飼い主は契約書に記載された期限内に避妊去勢手術を予約することになりますが、連絡がない場合には督促を行います。督促に応じない場合は、契約違反により契約終了(解除)となります。そうなれば原状回復義務が生じますから、新しい飼い主はシェルターに動物を戻さなければなりません。新しい飼い主が引き渡しを拒否した場合、民事手続きにより粛々と引き渡しを求めることになります。しかしながら、動物がシェルターに戻るよりも新しい飼い主のもとで暮らしていく方が望ましいですから、たとえ譲渡時に設定された期限内に手術が実施されなくても、新しい飼い主が手術実施の意思を示していれば期限の延長もやぶさかではないというわけです。