アニマルシェルターにおける「隔離」と「検疫」 その1

アニマルシェルターには日々様々な状態の動物が入ってきます。その中には感染症を蔓延させるリスクのある動物が含まれている可能性があります。これは何も自治体や団体が運営する「アニマルシェルター」だけの話ではなく、複数の動物を預かる個人ボランティアにも関わってくる話です。

感染症予防の観点から、シェルターメディスンでは“isolation”(隔離)と“quarantine”(検疫)という概念がよく用いられます。その違いについて、ASPCA(米国動物虐待防止協会)のWEBページ“Isolation vs. Quarantine in Animal Shelters: Why It's Important to Know the Difference”(アニマルシェルターにおける隔離と検疫:違いを知ることが重要な理由)(https://www.aspcapro.org/resource/isolation-vs-quarantine-animal-shelters-why-its-important-know-difference)から見ていくことにしましょう。

 

隔離と検疫の意義

Isolation and quarantine are important tools to help control infectious disease in a shelter. Use these definitions to help decide what is most appropriate when you're concerned about an animal's disease status. 

隔離と検疫は、シェルターでの感染症の制御に役立つ重要なツールです。 これらの定義を使用して、動物の病気の状態が気になる場合に何が最も適切かを判断してください。

 

隔離(isolation)とは

Isolation: Process of physically separating animals that have been diagnosed with or are showing clinical signs of an infectious disease. 

隔離: 感染症と診断された動物、または感染症の臨床的徴候を示している動物を物理的に隔離する手順。

 

【のらぬこの解説】

“isolation”とは、感染症の蔓延防止や治療のために、患畜を別室に隔離することをいいます。

 

検疫(quarantine)とは

Quarantine: Process of physically separating animals exposed to, but not showing signs of, infectious disease to monitor for signs of illness and prevent the spread of disease.  

検疫: 感染症にさらされているが、その兆候を示していない動物を物理的に隔離して、病気の兆候を監視し、病気の蔓延を防ぐ手順。

 

【のらぬこの解説】

“quarantine”とは、感染症と診断はされていないものの、感染症のリスクがある動物を別室に隔離し、しばらく様子を見ることをいいます。