アニマルシェルターにおける「隔離」と「検疫」 その2

アニマルシェルターにおける“isolation”(=隔離)と“quarantine”(=検疫)の違いについて、ASPCA(米国動物虐待防止協会)のWEBページ“Isolation vs. Quarantine in Animal Shelters: Why It's Important to Know the Difference”(アニマルシェルターにおける隔離と検疫:違いを知ることが重要な理由)(https://www.aspcapro.org/resource/isolation-vs-quarantine-animal-shelters-why-its-important-know-difference)から見ています。

 

隔離と検疫の実際

These two processes are critical in the face of a disease outbreak but can also be implemented to control disease before it spreads widely. Consulting a veterinarian experienced in shelter medicine can help determine when each process should be applied. Ideally, when they are used, housing spaces for quarantine and isolation should be separated from each other, as well as from the rest of the shelter population. The quarantine and isolation areas should also each have designated caregivers to prevent the spread of disease.   

これら 2 つの手順は、病気の発生に直面した場合に重要ですが、病気の蔓延を制御するためにも実行できます。シェルターメディスンの経験豊富な獣医師に相談することで、それぞれの手順をいつ適用する必要があるかを判断できます。理想的には、それらが使用される場合、検疫と隔離のための居室は、シェルター内の他の個体群からだけでなく、それぞれが分離されるべきです。検疫室と隔離室に配置される世話人は、病気の蔓延を防ぐために、限定する必要があります。

 

【のらぬこの解説】

前回ご紹介したとおり、“isolation”(隔離)は「感染症の患畜を隔離する」ことで、“quarantine”(検疫)は「感染症疑い(もしくは状態不明)の動物を隔離し様子を見る」ことですので、手順としては別になります。とはいえ、限られた施設内で隔離室と検疫室をそれぞれ別に用意することが困難な場合、同じ居室で両者を兼ねることはしばしばあります。その場合、隔離個体と検疫個体が直接接触しないような配慮が必要なことは言うまでもありません。

 

定例的な検疫は不要

It is important to note that healthy-appearing incoming animals do not need to be routinely quarantined if your shelter has good preventive protocols in place. This is true even for animals who have been relocated as long as the source shelter also has good preventive protocols in place. Routine quarantine for all animals can unnecessarily extend their length of stay, which has detrimental effects on physical and emotional welfare.  

シェルターで適切な予防手順が実施されている場合、健康に見える動物を定例的に検疫する必要はないことに注意することが重要です。これは、移動元のシェルターでも適切な予防手順が実施されている限り、移動された動物にも当てはまります。すべての動物を定期的に検疫すると、滞在期間が不必要に延長される可能性があり、身体的および感情的な福祉に悪影響を及ぼします。

 

【のらぬこの解説】

アニマルシェルターにおける感染症予防の手順が徹底されている場合や、受け入れた動物の素性が明らかな場合(ペットや他のシェルターからの受入れなど)、見た目健康な動物を定例的に検疫する必要はありません。不必要な検疫期間を設けることにより譲渡が遅れ、滞在期間が長くなるからです。