UCデービスのホームページ(https://www.sheltermedicine.com/library/resources/?r=performing-a-physical-exam-on-a-shelter-animal)から、アニマルシェルターの受入時検査の具体的手順を見ています。
7. Skin:(皮膚)
Look for evidence of external parasites (fleas, ticks, lice), hair loss, scabs that may suggest a history of self-trauma due to allergy or neurosis. Feel all over for masses, sores, or wounds. Be especially sure to check the umbilicus and all mammary glands, even on male animals. Check carefully for signs of ringworm. Note that many skin conditions look similar; scabies, demodectic mange, and allergies can all look similar. A simple skin scraping may be very helpful in these cases to distinguish infectious from non-infectious skin disease.
外部寄生虫 (ノミ、マダニ、シラミ)、脱毛、アレルギーや神経症による自己外傷の履歴を示唆するかさぶたの証拠を探します。しこり、ただれ、または傷を触ります。オスの動物であっても、臍とすべての乳腺を特に確認してください。白癬の兆候がないか注意深く確認してください。多くの皮膚の状態は似ていることに注意してください。疥癬、毛包虫症、およびアレルギーはすべて似ています。これらの場合、感染性皮膚疾患と非感染性皮膚疾患を区別するために、単純な皮膚掻爬が非常に役立つ場合があります。
【のらぬこの解説】
受入時検査は診断が目的ではありませんから、皮膚病変の詳細な検査は不要です。大事なポイントは、感染性(=隔離が必要)か否かの見極めです。感染性疾患であると判断されれば直ちに隔離が必要ですし、またその可能性が完全に払拭できなければ、詳細な検査の間、検疫室で様子を見ることになります。
特に注意が必要なのが、人間に感染する可能性がある、いわゆる人獣共通感染症です。具体的に言うと、白癬(皮膚糸状菌症)や疥癬、そして様々な人獣共通感染症を媒介するマダニの感染です。
外部寄生虫、特にマダニについては、受入時に外用薬で落としておくのが理想です。野犬の場合、駆虫すると床がマダニだらけになることは珍しくありません。マダニが媒介する疾患で最も怖いのがSFTS(重症熱性血小板減少症候群)です。ウイルスを持ったマダニに咬まれると、犬は比較的発症率が低いですが、人間に感染して命にかかわることもありますし、猫に感染すると発症率も死亡率も高いと言われています。その他の感染症のおそれもあるため、マダニはシェルターに持ち込ませないことを徹底すべきです。