受入時検査の実際<口腔と口臭>

UCデービスのホームページ(https://www.sheltermedicine.com/library/resources/?r=performing-a-physical-exam-on-a-shelter-animal)から、アニマルシェルターの受入時検査の具体的手順を見ています。

 

14. Mouth:(口)の続き

 

Oral tissue(口腔組織)

ulcers/sores on the tongue or lips in cats is most likely caused by calicivirus infection (a component of URI). Oral cancer is relatively common in older dogs and can be quite aggressive, so any suspicious masses should be checked out further.

猫の舌または唇の潰瘍/炎症は、カリシウイルス感染 (URIの一種) によって引き起こされる可能性が最も高いです。口腔がんは年配の犬に比較的よく見られ、非常に進行が速い可能性があるため、疑わしいしこりがあればさらに検査する必要があります。

 

【のらぬこの解説】

URIとは「上気道感染症」、いわゆる「猫かぜ」のことです。URIには様々な原因がありますが、メジャーなのが「猫ヘルペスウイルス感染症」と「猫カリシウイルス感染症」です。いずれもくしゃみや元気消失、目やになど、いわゆる風邪様症状を示しますが、口内炎や鼻汁は猫カリシウイルス感染症に特徴的な症状です。余談ですが、角膜炎(黒目が白くなる)や流延(よだれ)は猫ヘルペスウイルス感染症に特徴的な症状です。受入時検査の段階で両者を分類する必要は必ずしもありませんが、野良猫を扱っているとしばしば遭遇する症状ですので、頭の隅に置いておくとよいかと思います。

 

Breath check(息のチェック)

bad breath that seems out of proportion with the amount of dental disease can b e a sign of serious problems, such as kidney disease or diabetes.

歯の病気の量と釣り合っていないように見える口臭は、腎臓病や糖尿病などの深刻な問題の兆候である可能性があります。

 

【のらぬこの解説】

口腔内に疾患があれば当然口臭はあるでしょうが、あまりにもきつい臭いや腐敗臭などはそれ以外の疾患が原因かもしれません。具体的には呼吸器、消化器、代謝系の異常などが考えられます。受入時検査の段階で原因究明までは求められませんが、臭いの印象(腐敗臭、刺激臭など)ともに「何らかの身体的異常の疑い」のサインとして記録しておきましょう。