シェルターに収容した動物を譲渡する際に行動評価を実施する目的について、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters”(2010)から見てみましょう。
Ideally, a systematic behavioral evaluation should be performed on all animals prior to re-homing or other placement. Some evaluations have been peer-reviewed, commonly accepted, studied and/or published, but none is scientifically validated for predicting future behavior in the home with certainty. However, information gleaned during such testing (e.g., level of activity and arousal) may be useful for characterizing the animal’s personality, determining behavioral needs in the shelter, matching animals with appropriate adopters and identifying individual animals who may not be suitable for rehoming or other placement.
理想的には、譲渡またはその他のあっせんの前に、すべての動物に対して体系的な行動評価を実施する必要があります。いくつかの評価は査読され、一般に受け入れられ、研究および/または公開されていますが、家庭での将来の行動を確実に予測するために科学的に検証されたものはありません。ただし、このような検査中に収集された情報 (活動レベルや覚醒レベルなど) は、動物の特性を明らかにしたり、シェルターでの行動上のニーズを判断したり、動物を適切な譲渡先にマッチングさせたり、譲渡またはその他のあっせんに適さない可能性のある個々の動物を特定したりするのに役立つ場合があります。
アニマルシェルターで動物の行動評価を行う理由について、ここでは4点があげられています。つまり
・動物の特性を明らかにする…譲渡対象の動物をキャラ付けし、魅力的に見せることにより譲渡しやすくするようなことが、米国のアニマルシェルターではよく行われています。
・行動上のニーズを判断する…行動の修正により譲渡の可能性をさらに向上させるため、どのようなエンリッチメントが必要かを検討するための資料となります。
・譲渡時のマッチング…動物の行動に関する情報は、譲渡時のマッチングの際に非常に重要です。
・譲渡適性の判定…どうしても修正できない行動上の問題がある場合「譲渡適性なし」と判断されることもあります。
ということになります。譲渡前の行動評価は、譲渡を促進するためのさまざまなデータ収集が目的であり、決して単に譲渡適性の有無を判断するためだけのものではないというところに注意してください。