行動評価の結果「譲渡不適」と判定された犬の馴化について、ASPCA(米国動物虐待防止協会)の論文要旨“Behavioral Rehabilitation of Extremely Fearful Dogs”(非常に憶病な犬の行動修正)(https://www.aspcapro.org/resource/behavioral-rehabilitation-extremely-fearful-dogs)から見ています。
Study Results(研究結果)
Here are some of the findings:
研究結果の一部を次に示します。
86% of the dogs graduated from the program and were made available for adoption.
犬の 86% がプログラムを卒業し、譲渡できるようになりました。
Adopter surveys indicated overall satisfaction with adopted dogs.
譲渡先の調査では、譲渡された犬に対する全体的な満足度が示されました。
Age, sex, breed, and history did not predict behavior grade. improvement, graduation, or adoption.
年齢、性別、品種、および履歴により、改善、卒業、または譲渡といった行動等級を予測することはできませんでした。
Successful treatment required an average of 78 behavior modification sessions over 96 days.
治療の成功には、96 日間で平均 78 回の行動修正セッションが必要でした。
Non-graduating dogs tended to have more severe fear on intake and less improvement as measured by behavior assessments.
卒業できなかった犬は、受入時の恐怖感が強く、行動評価で測定される改善度が低い傾向がありました。
これらの犬がもともと行動上の理由で「譲渡不適」と判断されていたことを考えると、86%の犬が譲渡可能になったということはものすごい成果に思えるかもしれませんが、私に言わせると、専門家監修の行動修正プログラムを3か月も実施すれば、これくらいの数字は出せて当然と考えています。要するに「やるか、やらないか」なのです。当然のことながら、実施するにはそれなりの飼養スペースとスタッフが必要です。日本で同様の事業を実施している岡山市の場合、動物園の空きスペースの提供を受けたり、一定数のボランティアが確保できたという、ある意味幸運に恵まれた部分はありますが、この研究と同様の成果をあげています。この研究はそれをあえて示すことで、アニマルシェルターの奮起を促しているのです。