Alley Cat Alliesが作成している、猫のHQHVSN(high-quality, high-volume spay/neuter:高品質かつ大量の避妊去勢手術)の効率的手順についてのポスター“Spay and Neuter Express Poster”(https://www.alleycat.org/resources/spay-and-neuter-express-poster/)に従って、HQHVSNの手順を見ています。
4. Waiting(待機)
Line up cats in order of preparation to keep the process moving forward so veterinarians are never waiting for patients. Closely monitor cats’ breathing and level of sedation.
準備ができた順番に猫を並べると、獣医師が患者を待たせることなく、作業が進みます。猫の呼吸と鎮静の度合いをよく観察します。
【のらぬこの解説】
ここまでくれば、猫は眠っているはずですが、麻酔がかかっているかどうか一応確認しておきます。麻酔が全然効いていない場合は麻酔薬の追加投与が必要ですし、逆に麻酔が効きすぎているような場合は緊急対応が必要なので、いずれの場合も速やかに獣医師を呼ぶことになります。
5. Surgery(手術)
Open a new surgery pack per cat, then begin incisions. For females, follow the steps in our high-quality, high-volume spay video for surgical instructions.
猫1頭ごとに新しい手術用パックを開封し、切開を開始します。メスの場合はHQHVSNビデオの手順に沿って手術の方法を説明します。
【のらぬこの解説】
手術用パック
猫1頭の手術に用いる、ハサミや鉗子などの手術器具を必要数だけ布(ドレープ)に包んで滅菌したものがいわゆる「手術用パック」です。これをあらかじめ必要数分だけ作っておくのですが、大量の手術になると手術用パックが足りなくなる可能性があります。その際には使用済みの器具を随時洗浄後滅菌して、手術用パックを作成する工程が必要になります。
HQHVSNの術式
ここは純粋に獣医師向けの内容なので、概略の紹介にとどめます。HQHVSNは、ペットの避妊去勢手術とはずいぶん趣が異なります。特にTNRの手術の場合、手術当日または翌日に猫を元の場所にリターンしますから、術後のケアは不可能です。そのため、皮膚をできるだけ小さく切開し「スペイフック」で子宮を吊り出す術式を用います。この術式についてはASPCA(米国動物虐待防止協会)やその他さまざまな団体や個人が動画を公開しています。